なぜポテチそっくりの土? カルビー関連会社が3年かけ開発 担当者「都会の子どもたちにジャガイモ育てる喜びを」

伊藤 大介 伊藤 大介

「でっかいポテトチップスだなと思ったら、ジャガイモ用の土だった」。そんな投稿が話題になっています。毬栗たると(@IgaguriTaruto)さんがTwitterに投稿したのは、カルビーのポテトチップスの特大袋ではなく、ジャガイモを育てる土。これはカルビーの関連会社「カルビーポテト」(北海道帯広市)が園芸用土を展開するプロトリーフ(東京都港区)と共同開発したといいます。なぜポテチではなく土を売るのでしょう?カルビーポテトに聞きました。

「この土、農業向けじゃないんです」

毬栗さんがポテトチップスと見まがう特大袋を見かけたのは、愛知県内のホームセンターでした。「有名なポテトチップスのパッケージデザインなので、『なぜ外にこんなでっかいポテトチップス売ってるんだろ?』と近づいたら、ジャガイモを育てるための土と書かれていたのでびっくりしました」と振り返ります。

カルビーポテトは、カルビーの原料部門が分離独立して設立された会社です。カルビーポテトによると、このジャガイモ用の土「ポテトバッグ」は2021年12月15日に販売を開始し、現在、本州ほぼすべての地域で販売しているといいます。ん?北海道は?ジャガイモ栽培といえば、北海道じゃないんですか?カルビーポテトの担当者は「いわゆる農業をやっている人向けの商品ではないんです。畑を持っていない、都市部の人がターゲットなんです」と話します。ポテトチップスに似たデザインも、「農作業をやっていない人に少しでも興味を持ってもらえたら」という狙いがあったそうです。

袋のままベランダ栽培

ポテトバッグは、都市部のマンションなどに住んでいて、「農業に縁がない人にもジャガイモに触れあってほしい」と開発されました。袋には12リットルの土が入っており、ポテトバッグの袋のまま、栽培用種芋「ぽろしり」を植えれば、ジャガイモが育つといいます。畑がなくても、ベランダで袋のまま育てられる上、肥料も配合されているので、水やりだけで育つという初心者でも育てやすいこだわりが散りばめられています。カルビーポテトの担当者は「ただの土ではありません。ココナツのヤシガラなど植物原料由来の原料でできているので、燃えるごみで捨てることができます」と廃棄のしやすさも長所に挙げます。

土は3年、種芋は10年かけて開発

ジャガイモ用の土「ポテトバッグ」は開発に3年、栽培用種芋「ぽろしり」は10年以上かけたといいます。なぜそこまでしてジャガイモを育ててもらう必要があるんでしょう?カルビーポテトの担当者は「子育て世代の家庭などでジャガイモ栽培を手軽に楽しんでもらい、ポテトチップスにも親しみを感じてもらえたら」と意図を明かします。でも、一般家庭でジャガイモを育てたら、ポテチが売れなくなるのでは?「いや、そんなにものすごく大量に採れるわけではないので(笑)」。毬栗さんの投稿をきっかけにSNS上でポテトバッグの知名度が高まり、想定を超える売れ行きだといいます。

毬栗さんも購入したポテトバッグに種芋を植え付け、日当たりの良い窓際で育てるつもりだといいます。興味を引かれた方は、ホームセンターでポテトチップス似の袋を探してみてください。

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