1980年代に建造され、2006年の閉鎖以降も何かと話題になった淡路島の「世界平和大観音像」(兵庫県淡路市)。2021年6月から始まった解体作業が進み、頭部と右手以外はすっぽり足場に覆われた画像がSNSで注目されています。
京都府写真ビエンナーレ2019大賞や2021年二科展入選などのキャリアがある写真家のキョン(@kyon_K4)さんが「像を囲む形で組まれた足場が、捕らえられてるみたいで可哀想でかわいい」という投稿文とともに、何枚かの写真を公開しました。
巨大な観音像を見下ろすというアングルの写真では、首あたりまで足場が緻密に組まれていることがうかがえます。写真を見たユーザーからは「これは壮観。足場組む人って凄いと思う」「こんな高さのところで作業するとか怖すぎる」「こんな高い足場初めて見た 作業員の方々、ご安全に!!」などと驚きのコメントが続出し、いいねの数は約4万。さらに、正面からの写真は、屋上部分に顔が乗っかり、その下の階から右手をのぞかせるシュールなタワーマンションのようで、今しか見ることができない貴重な光景です。キョンさんに聞きました。
ー観音様が封じ込められているようです
「ドローンでの撮影になります。観音様の高さが100メートルとのことなので、もう少し高いくらいでしょうか」
ー世界平和大観音像には以前から
「もう10年以上前から何度も足を運んでいます。巨大な建造物がもたらす迫力、首もとに展望台が設置されている奇抜なデザイン、建造の背景すべてに魅力を感じています。観光施設として営業していた当時は、敷地内に機関車や自由の女神など節操のないものが点在していたのも面白かったです」
ー解体中の観音像を撮影して
「解体のために組まれた足場を見て、職人さんの技術にものすごく感動を覚えました」
ーとらわれたかのような観音像を見ていると動き出しそうに思います
「この10年で像の外壁が剥がれたり劣化していく様子を見てきたので、周囲の住民の方に迷惑がかかるのは理解できます。一方で、近いうちにこの観音様の姿が見られなくなるのはとても寂しいです。私にとって淡路島のシンボルでしたので…。今後も何度か通って、解体されていく観音様を見届けたいと思っています」
ー撮影のテーマとしている廃墟に通じるものも
「たくさんあります。物事はどんなものでも歴史があり、いずれは終わりを迎えるということを被写体を通じて実感しています。今回はひとつの歴史の節目に立ち会えたことが貴重な経験だと思っています」
財務省近畿財務局などによると、観音像の優しげな表情を拝める期間は残りわずか。現在は高さ約80メートルに位置する像の首元まで足場が組まれ、2022年1月下旬までに像全体が覆われる予定です。観音像は2022年6月ごろまでかけて解体される見通しで、台座なども撤去し全ての工事を終えるのは2023年2月下旬とされています。
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