京都祇園のお茶屋に劇画屛風のなぜ 火災全焼のお茶屋へ漫画家が込めた激励

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 「柔侠伝」などの作品で知られる漫画家バロン吉元さんの作品展が、京都市東山区花見小路通四条下ルのお茶屋「吉うた」で開かれている。お茶屋の座敷に「劇画」のタッチで描かれた屏風[びょうぶ]や絵画が並び、訪れた人たちを驚かせている。

 会場となっている吉うたは、明治期創業で100年以上の歴史を有する老舗お茶屋。作家の吉井勇(1886~1960年)をはじめとして多くの著名人らに愛された。特に作家・作詞家の長田幹彦(1887~1964年)が吉うた滞在中に「祇園小唄」の歌詞を作ったことでも有名だ。吉うたは2019年には近隣で起きた火災で全焼した。再建を果たし2021年2月にお茶屋として営業再開したものの、新型コロナウイルス感染拡大で時短営業の日々が続いた。

 バロン吉元さんは劇画ブームで名をはせた漫画家。近年はアクリルガッシュと呼ばれる画材で絵画を手がけている。バロンさんは吉うた女将の高安美三子さん(81)の弟で三味線教室講師の中西貞都雄さん(72)と40年以上前からの友人。バロンさんは1970年代後半からたびたび吉うたを訪れていたという。

 吉うたが全焼し、さらにコロナ禍で苦戦している状況を知ったバロンさんが、吉うたの再起を祝い高安さんを元気づけようと作品展開催を決めた。

 作品展は「バロン吉元と祇園吉うた展GEKIGACORE(ゲキガコア)」。お茶屋2階の座敷には、老木の梅の元で7人の美男子がたたずむ様子を描いた2曲1双の屏風や、建仁寺所蔵の「風神雷神図」に影響を受けたバロンさんオリジナルの風神と雷神などの大作が並ぶ。高安さんが舞妓だった時代をイメージし描いた肖像画のほか、漫画の1こまを引き延ばし長女のエ☆ミリー吉元さん(28)と合作した絵画も展示されている。

 高安さんは「祇園のお茶屋さんに来たことがない人にも足を運んでもらいたい」、エ☆ミリーさんは「お茶屋さんとして営業しているときは『いちげんさんお断り』ですが、展示は予約さえして頂ければだれでも入れます」と来場を呼び掛ける。

 作品展は26日までの午前11時~午後4時で事前予約制。電子メールで件名に「展覧会予約」と書き、名前・ふりがな、人数、電話番号、希望日時を記しinfo.baronyoshimoto@gmail.comに申し込む。1通につき2人まで申し込める。入場料500円。

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