7月にTikTokが公式にハッシュタグキャンペーンを展開し話題になった「勝手にPR」。
言葉の通り、応援したいお店や商品をユーザーが勝手にPRすることだが、今SNS上ではその元祖と言えそうな写真たちが大きな注目を集めている。
件の写真を紹介したのは中古車貿易商でミュージシャンのイル・カポネさん(@ill_capone)。
「実家から発掘された私の祖父が撮った写真。広告っぽい写真を撮って勝手に企業に送り付けるのが好きだったようで、これらはキッコーマンのお醤油を勝手にPRしている。私の父(2L瓶を持つ少年)や祖母が写る。昭和30年頃と思われます。」
食卓を囲む家族、買い物帰りの子供たち、子供たちを寝かしつけて読書するお母さん…写真は映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のような昭和30年頃の家庭の日常風景をおさめたものばかり。
しかしよく見ると少し不自然なところが。そう、どの写真も醤油や足袋、児童向け雑誌などの商品がわざと目立つように配置され、広告っぽい仕上がりになっているのだ。
これらの"元祖・勝手にPR"写真にSNSユーザー達からは
「これは素晴らしい!
カラー化して企業に送り付けて、お祖父様の念願を叶えたいです(笑)」
「昭和レトロブームに乗っかって、今まさに使えそうですね。」
「素敵な作品達。温かくて、さながら炊きたてのご飯の匂いがしそうな優しい写真ばかり。(*´ω`*)」
「見事なタラちゃんヘアーで当時の子供は本当にこの髪型だったんだなって思った」
「写真のセンスも、買ってに宣材写真送るっていうセンスも最高ですね!」
「ネット発明される前から『映え』の感覚は確かに日本にあったんだ」
など数々のコメントが寄せられている。
イル・カポネさんにお話をうかがってみた。
――一連のお写真を発見されたシチュエーション、経緯をお聞かせください。
カポネ:あるイベントで私の幼い頃の写真が必要となり実家で古い写真を探していたら「わが家の記録」と書かれた埃をかぶったアルバムがあり、これらの写真が出てきました。このような写真を撮っていることは知りませんでしたが、その場にいた私の両親が教えてくれました。
――お写真をご覧になった際の感想をお聞かせください。
カポネ:はじめは当時の日常を撮影した写真と思い、そこに写る父や祖父母の姿を若いなぁとながめていました。そこにいた私の両親が、祖父は広告みたいな写真を撮っていろんなメーカーに送ることが好きでよくやっていたと教えてくれました。よく見るとそこに写る商品がよく見えるように撮られていて、これは面白いなと驚きました。両親はこれらの写真の存在は知ってたようで、懐かしそうに見ていました。
――写真を送ったメーカーから何か反響はあったのでしょうか?
カポネ:当時の反響については残念ながら誰もまったくわかりません。私も気になります。
――カポネさんにとってお祖父様はどんな方でしたか?
カポネ:幼いころはとてもかわいがってもらいました。優しく仕事熱心な祖父でした。時間のある時はよく水墨画を描いており、写真が趣味という印象はありませんでしたが、これらの写真を見ると若い頃は相当入れ込んでいたのだと思います。写真に写る祖母とはおしどり夫婦でした。
――これまでのSNSの反響についてご感想をお聞かせください。
カポネ:祖父は15年ほど前に他界し、祖母も数年前に他界しました。ですが…撮影から70年近く経った今、多くの方に見ていただき、そしてたくさんの反響をいただいたことを祖父母もきっとどこかで驚き、喜んでいると思います。ありがとうございました。
◇ ◇
今回公開された写真たちは"元祖・勝手にPR"としても、昭和30年頃の社会風俗を伝える上でも非常に価値あるものだと思う。イル・カポネさんのお祖父さんのご功績に敬意を表したい。
イル・カポネさん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/ill_capone