足元に近づいてきた猫
ポテトちゃん(4歳・メス)は、大阪府に住むMさんと公園で出会った。Mさんは、飼っていたうさぎ1匹が虹の橋を渡り、毎日悲しみに暮れていた。
「悲しんでばかりではダメだと思い、気晴らしに少し遠くの公園へ自転車に乗って行きました。その公園にはよく行くのですが、見たことのないさび猫ちゃんがいて目が合いました」
Mさんが自転車を停めてさび猫ちゃんをずっと見ていたら、足元まで近づいてきてくれた。お腹を空かせているようだった。
「でも、何も持っていなかったので急いでスーパーへ行き、キャットフードを買ってまた戻ったのですが、どこかへ行ってしまって見当たりませんでした」
「私の子どもを見て」
Mさんは心残りで、往復1時間かかる公園だったが、翌日も同じ時間に公園に行った。
「すると、また同じ場所にさび猫ちゃんがいたんです!!こっそりごはんをあげると必死で食べていました」
猫風邪をひいていたので動物病院で風邪薬をもらい何日か通ったが、ある日突然姿を現さなくなった。
「心配で何日も通いました。1週間ほど経ち、『もういないかなぁ?』と思ったら、また現れたんです!いつものようにごはんをあげると、食べ終わったさび猫ちゃんは私をどこかへ誘導しました」
「何だろ?」と思ってついて行くと、ゴミ置き場へ。木の板の陰に2匹の子猫ちゃんがいた。
「サビ猫ちゃんは、ママだったんだ!!ママは仔猫をツンツンと顔で押し出し見せてくれました。目がまだほとんど見えていない小さな赤ちゃんでした」
サビ猫ちゃんは、1匹ずつくわえて木陰に連れて行き、お乳を与えていた。
「私はとても感動しました。とても赤ちゃん思いの優しい子で、いろいろ場所を変えて赤ちゃんを運んでいました」
子どもたちはどこ!?
何日か過ぎ、Mさんがまた公園へ行くと、さび猫ちゃんがそわそわずっと鳴いていた。すぐにさび猫ちゃんのところへ行き、「どうしたの?」と聞くと、Mさんに向かってずっと何かを訴える様子だった。
「近くにいたおばさんが、この子の子ども達を、私と来ていた友達が今さっき連れて帰ったんよ…可哀想に。ごめんねー。と言っていました」
Mさんはそれを聞き、悲しくて涙が止まらなくなった。
「ママが隣にいたのになぜ引き離したの?連れて帰ろうという優しい気持ちがあるのなら、なぜママも一緒に連れて帰らないの?」
残されたさび猫ちゃんは、同じ場所を鳴きながらずっとぐるぐると探し回っていた。
放っておけない
Mさんは、サビ猫ちゃんを放っておけなくなった。夫に「連れて帰りたい」と相談したが「ダメだ」と言われ、とても悩んだ。
翌日、雨が降っていて、心配で仕方なかったので、また様子を見に公園に行った。さび猫ちゃんは、また同じ場所でずぶ濡れになりながら赤ちゃんを探していた。
「ずっと探してたのかな?悲しくて仕方ありませんでした」
必死で赤ちゃんを探していたさび猫ちゃんは、通りがかりの人に蹴られた。Mさんは怒りでいっぱいになった。「この子は絶対に私が守る!幸せにする!」。そう心に決め、急いでキャリーケースを取りに帰り、また公園に向かった。
「きっとさび猫ちゃんはキャリーケースに入ってくれる!私はそう信じていました」
公園に戻ってケースを開けると、すぐに入ってくれた。その足で病院へ行き、Mさんの子になったさび猫ちゃん。肝臓が悪かったが、大きな病気はなかった。名前は、鼻筋が独特で、フライドポテトのようだったので、「ポテトちゃん」にした。
ポテトちゃんは先住猫やうさぎともすぐに打ち解けた。とても賢く、みんなと寄り添って寝る甘えん坊でもある。
「反対していた主人も可愛がってくれて、幸せな日々を送っています」