おねしょは怒っちゃだめ!「寝る前のハトムギ茶はNG」 小児科医に聞いた生活習慣6つの改善策

いよいよ季節が秋めいてきて、朝晩は冷え込む日が増えてきました。寒くなると増えてくるのが、子どもの「おねしょ(夜尿症)」。我が家の子どももまだ未就学児ですが、毎年この時期だけ失敗してしまう日があります。日本泌尿器科学会によると、子どものおねしょ(夜尿症)は「5歳以上で1カ月に1回以上の頻度で夜間睡眠中に尿失禁を認めるものが3カ月以上続くもの」と定義されています。7歳児における夜尿症の有病率は10%程度で、そのあとは年間15%ずつ自然に治るとされますが、0.5〜数%は夜尿症が解消しないまま成人になるといわれています。

子どもがおねしょをしてしまった場合に、どう対処すればいいの? 病院にかかるべきタイミングは? と頭を悩ませている保護者も多いと思います。夜尿症治療に詳しい兵庫県立丹波医療センター小児科部長の井上真太郎医師に話を伺いました。

膀胱の知覚が過敏に 汗の減少や睡眠時間の長さも影響

ーー秋ごろからおねしょをしてしまう子どもが増えると聞きます。理由を教えてください

「大人が寒い時に尿意を感じることと同様の原理です。皮膚に寒冷刺激が与えられると、膀胱の知覚が過敏となり、頻尿になります。また、膀胱は自律神経が支配しており、自分の意志で動かせないため、夜間の意図しない排尿が起きてしまうわけですが、寒冷刺激によりその可能性が高まることになります。そのほか、気温の低下により発汗など尿以外の水分排泄量が減少し、寒冷から皮膚表面や四肢末梢の血管が収縮し、体幹を流れる血流量が増えることによって尿量が増える傾向にあります。また、夜が長くなると睡眠時間も長くなるため、そのことも影響しているようです」

ーーおねしょをしてしまった子どもに、どう接したらいいですか?

「基本的な姿勢として、怒らない。膀胱の収縮は自分の意志ではコントロールできないので、怒ってもおねしょは治りません。しかし、子どもの性格にもよって対応を変える必要も出てくるでしょう。しょんぼり落ち込んでしまう子どもを叱って、さらに萎縮させるのは得策ではないですが、あまり気にせずおねしょを治す気がないような子どもは、汚れた下着やシーツを洗濯場まで運ばせるなどの手伝いをさせて、意識させる必要も出てきます。私の外来診療では初診から『卒業』まで、平均1年9か月掛かっています。根気を持ってお子さんと向き合ってください」

―おねしょの原因はやはりストレスなのでしょうか?

「原因はいろいろあり一概に言えません。環境要因も加わってくるので複雑です。阪神・淡路大震災後は夜尿を訴える子どもが増えました。この性格、この家庭環境だから夜尿が起こる、という決まったパターンはありません」

まずは生活習慣の改善を 寝る前のスイカやハトムギ茶はNG

―病院を受診する前に、家でできる改善策を教えてください

「日本泌尿器科学会では小学校に入っても夜尿症が治らない場合は小児科か泌尿器科を受診することを勧めています。しかし、投薬を始める前に、まずは以下の生活指導を行います」

①入眠前にトイレに行き排尿することを習慣づける
②早寝早起き。起床・就寝する時刻をできるだけ一定にする
③就寝前の飲水を控え、朝に水分摂取を積極的に行う
④夕食から寝るまでにできるだけ時間をあける
⑤夕食時は塩分を多く取らない
⑥スイカやハトムギ茶など利尿作用があるものを夕食後や夜間に取らない

―すぐに受診すべきケースがあれば教えてください

「おねしょ単独であれば、急ぐケースはまずないと言っていいでしょう。本人が受診したくないようであれば、治療効果が上がらない場合も多く、無理には勧めません。夜尿症の診療は、まず夜尿を伴う疾患がないことの確認から始まります。発熱など夜尿以外の症状も伴う場合はすぐに受診してください」

◇ ◇

気象庁によると、11月に入って季節は冬に向かうと予想されています。洗濯物も乾きにくくなる季節となり、おねしょが治らないことに焦りが募り、ついイライラして怒ってしまうこともあると思います。我が家でも、「おねしょは自分の意志ではコントロールできない」ことを親がしっかりと理解し、まずは生活習慣の改善から取り組もうと思います。

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