三戸なつめ、「憎しみだってある」目標はいい子ちゃんキャラからの脱皮 『俺流塩らーめん』でパワーチャージ

石井 隼人 石井 隼人

読者モデルでも歌手でもない、女優としての三戸なつめ(31)がナチュラルでいい味を出している。元乃木坂46の桜井玲香が初主演する映画『シノノメ色の週末』では、売れないモデル・美玲(桜井)の高校時代の親友アンディを伸びやかかつ自然体で演じている。パッツン前髪スタイルで青文字系雑誌のカリスマ読モだった三戸も30代に突入。現在は新たな道として女優道を歩んでいる最中。「悪女を演じること」を目標に、渋谷生まれの『俺流塩らーめん』を食べてパワーチャージしている!?

連続テレビドラマ『賭ケグルイ』(2018年)で女優活動を本格化。「幼少期から漫画が好きで、子供の頃は役柄に成り切って登場人物のセリフを音読。女優業を本格化させたのも、違う人を演じる楽しさを理解していたからです。私にはモデルとしてのイメージが強くあるかもしれませんが、そのハードル以上に“やりたい!”という気持ちが勝った」と本腰を入れて演技に打ち込んでいる。

言われるほどいい人でもない

演技レッスンにも通い、技術とともに内面を研ぎ澄ましている。「演技とは、魂と身を削らないと出来ないものだと実感しています。自分の内側や負の感情を出さないとキャラクターにも物語にも深みが生れない。こんなにも体力を消耗するものなのかと驚くことばかりです。レッスン終わりはラーメンが無性に食べたくなる。燃焼している体をもっと燃焼させるぞ!という感覚で、『俺流塩らーめん』で辛塩らーめんを食べちゃいます」といい表情をしながら教えてくれた。

イメージと見た目そのままに、明るく朗らかな人。ゆえに「負の感情がなさそうと言われることは多いし、役的にもいい子ちゃん系キャラをあてがわれることも多い」と認めるところだが「でも私も一人の人間。憎しみだってあるし、そこまで言われるほどいい人でもありません。もう少し意地悪な女の子や悪女と言われるようなキャラクターを演じてみたい」と新境地開拓に意欲的だ。

リアルに出来た理由

廃校が決まった母校を舞台にした青春群像劇『シノノメ色の週末』では、サブカル系おしゃれ女子という設定。10年ぶりに当時の親友・美玲(桜井)とまりりん(岡崎紗絵)と再会した場面では緊張から声が上ずっており、しばらくすると慣れてきて普通の声色に戻るという些細ながらもリアリティのある表現にセンスを感じる。

「実は撮影初日が10年ぶりに駅で再会するシーンで、私自身も緊張していました。そこから実際に二人と会話を交わし、若干打ち解けた空気の中で学校の撮影へと入っていたので、役柄の感情と自分の感情が一致しやすかったのもリアルに出来た理由かもしれません」と振り返る。

お芝居とは思えぬ、セリフの自然な掛け合いも目を引く。「監督からは『普段のそのままで』と言われたので、三戸なつめとして反応するようにしました。ありのままという意識で演じるのは不安でしたが、玲香ちゃんや紗絵ちゃんは年下ながらも頼れる存在だったので、大丈夫だ!と思えました」と舞台裏を明かす。20代をモデルや歌手として駆け抜けた三戸。30代を機に「女優業を本格化させたい」と意気込むが、本作を見るとそれは有言実行になりそうだ。

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