AKB48時代に張り付けられた、天真爛漫なイメージ。しかしそれは、現在の女優業にプラスに作用しているという。グループ卒業から約6年。川栄李奈(26)が今だからこそ振り返るアイドル時代のこと。
ターニングポイントは抜き打ちテスト企画
AKB48時代に参加したフジテレビ系バラエティ『めちゃ×2イケてるッ!』の抜き打ちテスト企画をきっかけに、一躍注目を浴びた。川栄は自身の知名度を高めてくれた看板として、いまだに感謝している。
「AKB48という大人数の中からキャラクター性を見つけてもらえたことは奇跡というか、本当にありがたいことでした。抜き打ちテスト企画でのイメージがあったからこそ、女優として真面目な役をやっただけで私の実力以上に評価されるというプラスもありますから」と自虐して笑う。
アイドルとしてパッとしないうちに卒業
AKB48には約5年間在籍。アイドルとしての経験や学びは女優業にも活きているという。「大勢のメンバーのいるグループで、色々な性格や価値観を持つ人たちと接してきました。お芝居の仕事でどんな人に会っても動じることなく、常にフラットに接することができるのはAKB経験のお陰。AKB時代はライブでの立ち位置変更が当日にあることも多かったので、柔軟性と臨機応変さも培われました」と現在の活動の礎として大切にしている。
転身に苦労する元アイドルが少なくない中で、川栄の女優への脱皮ぶりは早かった。それは生まれ持った素質によるものが大きいはずなのだが、川栄はおごらない。「アイドル時代にトップにいたり、人気があったりすると卒業後も『元ナントカ』と言われがち。私はアイドルとしてパッとしないうちに卒業をしたので、アイドルのイメージは少ないと思います。もちろん『アイドルのくせに!』と言われたこともありますが、自分の実力が追い付いて行けば言われることも少なくなるだろうと、頑張ることができました」。
夢を叶える秘訣とは?
現在放送中のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では、上白石萌音、深津絵里と共にヒロインを務める。オーディションで射止めた大役だ。「AKBを辞めたときに、朝ドラと大河ドラマに出て、映画でも賞を獲るという目標を立てました。卒業から6年経って思い描いた以上に夢が叶って嬉しいです。これからもコツコツと、それだけが夢を叶える秘訣です」と実感を込める。
声優として参加した短編アニメーション映画『サマーゴースト』(11月12日公開)でも芸達者ぶりを堪能できる。「座ってアフレコ収録というスタイルが初めてで新鮮でした。若い女性の幽霊という役柄で、儚さと同時に年上のお姉さんのような雰囲気を出すのに苦労しましたが、座っていると徐々にリラックスしてきて、自宅でゆったりと収録しているような気分になりました」と声にも自然体が滲み出たようだ。