東京・大手町の日本旅館「星のや東京」(東京都千代田区)が始めた会食サービス「東京・提灯会食」が話題です。
コロナ禍以降、飲食店では当たり前になった透明パーテーションの代わりに、天井から大きな提灯「提灯型パーテーション」がぶら下がっており、利用客は各自提灯の中に入って会食を楽しむという斬新なアイデアです。Twitter上では「これはすごい発想」「ハリウッド映画みたい!」「近未来だ」「シュール」「行ってみたい」などの声が上がっています。同旅館を運営する「星野リゾート」(本社、長野県北佐久郡軽井沢町)の担当者に話を聞きました。
老舗の職人「面白いアイデア」と快諾
提灯型パーテーションのサイズは直径75cm、高さ102cm。提灯の正面部分は0.15mmの透明ビニール製、後ろ半分は骨組みのみなので「飛沫を防ぎながらも、顔を見ながら声を遮られず、快適に会話を楽しめます」(担当者)。
ーー大変斬新なアイデアに驚きました。どなたのアイデアですか。
「議論自体はダイニングサービスに関わるメンバーを中心に昨年からありましたが、感染状況を見ながらどういったかたちが良いのか慎重に検討していました。飲食店、飲食スペースでのパーテンション設置がスタンダード化される中で、せっかくなら同じパーテンション設置でも食事の場をより楽しいものにする体験提案が出来ないか考え、このアイデアに至りました」
「提灯に関してははじめ、館内の雰囲気に合わせ出て来た発想でしたが、快適性や動作検証をする中で、提灯の伸縮性が理にかなっていることが分かり、提灯をベースにして開発を進めていった現場で働くスタッフのアイデアです」
提灯型パーテーションを製作したのは京都にある提灯の老舗「小嶋商店」(京都市東山区)です。発注時、老舗の担当者はどんな反応だったのでしょうか。
「職人の方が『面白いアイデアですね』とおっしゃり、企画に二つ返事で快諾してくださいました。培った技術を使いながら、約1年かけて、前のめりに提灯のデザインの研究と作製を行なってくださいました」
ネットの疑問「背もたれ使える?」→回答は…
ーー完成までに苦労した点は。
「実際の食事のシーンに限りなく近い設定で、複数名のスタッフたちと何度もロールプレイを通した検証を進めました。視界、お客様の身長、着席や離席、スタッフの食事サーブなどを想定した修正を加えており、見た目以上に提灯の中では快適に過ごしていただけます」
ーーネット上の反応で、「提灯内は息苦くないか」「電球で熱くないか」「背もたれは使えるのか」という声がありますが、そのあたりもクリアされているのでしょうか。
「提灯会食に興味を持っていただき大変うれしく思います。提灯は快適に過ごせる大きさがあります。また、電球はLEDのため熱くありません。写真はイメージなので、実際の食事の際には、背もたれにはクッションを設え快適に食事をお楽しみいただけます。また、他のサービスと同様に、今後はそれぞれのお客様のご要望に合わせて対応します」
ーー提供開始後、予約状況は。
「昨日(13日)発表のため、これからお問合せいただけることを期待しています」
▽「東京・提灯会食」会場代1組30000円、コース料理「Nipponキュイジーヌ ~発酵~」1人21780円(いずれも税・サービス料込)。対象は星のや東京の宿泊者、宿泊者招待の日帰り客。「星のや東京」の公式サイトにて5日前までに要予約。1日1組限定。