新型コロナワクチンの接種が日本でも始まって半年以上が立ちました。国内でワクチンを2回接種した人の割合は首相官邸のホームページによると9月30日時点で6割近くに。接種会場も増えてきています。
私が勤めている病院も、ワクチンの接種会場となっています。私自身も看護師としてワクチン接種を担当しており、注射での接種800人、接種後の経過観察700人、合計1500人以上の方の接種に関わってきました。
ワクチン接種には、日々60人から140人の方が来られますが、「病院の会場」ということもあり、「持病がある人」や、「集団接種会場で接種を断られた人」などもおられます。副反応など何か起きた時にすぐ対応できるようにしているので、気が抜けません。また、注射を打つ係になると、約3時間通して打ち続けることもあり、さすがに手が痛くなったりしてきます。
しかし、そんな張り詰めた雰囲気がちょっぴりゆるむような、ほっこりした出来事にたびたび遭遇しました。思わず笑顔になってしまった接種会場でのエピソードをご紹介します。
▽アルコール綿は大丈夫?
接種を受けられる方に「アルコール綿での消毒は大丈夫ですか?」と聞くと、「毎日アルコール飲んでるから大丈夫だよ。」というやりとりが多くあります。私はそれを聞くと「また言われた」と笑顔になってしまいます。
▽連絡先を教えて欲しい
ワクチン接種して家に帰った後に、副反応が起きた時の相談をしたいからと、勤め先の病院の電話番号を聞かれることがあります。
「あんたの病院の電話番号を教えて」と聞きたかったのでしょうが、間違えて「あんたの電話番号教えて」と言われたことがあります。思わずお互い笑ってしまいました。
▽注射痛くないのは看護師の腕がいいから?
コロナワクチンは筋肉注射のため痛いです。注射を打っている時に「痛いです」と言う人もいます。
一方、打った後に「あれ?思ったより痛くない。あんたの腕が良かったんだな」と言ってくれる人がいます。そう言われると、また頑張って注射を打とうという気持ちになります。
▽荷物を忘れて行ってしまう
荷物置き場に荷物を置いてワクチン接種をします。接種が済んでホッとしたのか荷物を忘れて行ってしまうことがあります。「終わったら気が抜けてしまって忘れちゃった」と言われ、接種に来られた方も私も緊張がとけてほっこりしました。
今では、荷物の忘れ物がないよう、「注射終わりました。荷物を忘れず持っていただき、あちらにお進みください」と声掛けするようにしています。
▽接種にねぎらいの言葉を掛けてくれる
予防接種を受けられる方は緊張していたりして、余裕がない方が多いと思います。それでも私達予防接種に関わっているスタッフに対して「ありがとう。あんたも大変と思うけど頑張ってね」とねぎらいの言葉を掛けてくれることがあります。初めて言われた時は、緊張と疲れていたせいもあって、正直涙が出るほど嬉しかったです。
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実は、私自身今まで看護師をしていて、こんなに多くの人に連続して予防注射を打ったことがありませんでした。接種会場では副反応が起きないか気を配っていることもあり、疲れを感じることもあります。そんな時、接種に来られた方と一緒に笑顔になれるやりとりは、お互いの緊張がほぐれるとても大切な瞬間です。
コロナが早く終息するように願いを込めて、今後もワクチン接種の仕事に携わっていきます。