女子中学生凍死の真相究明を…このままでは「旭川市の教育に明日はないでしょう」夜回り先生が訴え

夜回り先生・水谷修/少数異見

水谷 修 水谷 修

 今年3月23日、北海道旭川市内に住む当時中学2年の女子生徒が同市内の公園で凍死した姿で発見され、約2年前から上級生の少年少女らによって、せい惨ないじめに合っていたことが明らかになった。今月18日には遺族の代理人が会見し、遺族の手記を公開した。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は「旭川市の先生たちにお願いです」として、同じ教育者の立場から学校の教員や市教委、行政に対してその責任を問い、事件の背景を含めた真相解明を求めた。

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 今年3月に、旭川市で1人の女子中学生が亡くなりました。その原因は、集団によるいじめだと報道されています。しかも、そのいじめの内容は、報道によれば、いじめではなく完全に司法によって処遇されるべき犯罪です。また、亡くなった女子生徒を、守るべき中学校や教育委員会の対応についても、大きな問題があると報道されています。

 もし、週刊誌などで報道されている内容が、すべて真実であれば、当時の管理職、関係した教員、そして教育長、市長までも、一つのいのちを守ることができなかったという重大な罪で、裁かれるべき、裁かれることがなかったとしても、自ら職を辞するべき事態です。しかし、だれ1人責任を取ることはなく、反論することもなく、ただ、該当女子生徒の母親の悲痛な叫びを無視し続けています。これは、許されることでしょうか。

 旭川市、私にとって縁の深い町です。私の剣道の友であり、旭川の教育に長く取り組んだ、片岡工という友人がいました。彼は、旭川で教員として長く務め、校長を務めました。私は、彼に頼まれて、3年に1度、旭川で教育講演会を教員や保護者を対象に数回行いました。旭川の教育を、子どもたちの命を守る素晴らしい教育としたいという彼の熱い熱意に応じてでした。

 残念ながら、彼は、2019年に病に倒れ、亡くなりました。片岡のことを憶えている教員や教育関係者は今もたくさんいるはずです。彼が生きていたら、この現状をどう思うでしょうか。許すでしょうか。私の講演を聞いた先生がたもたくさんいると思います。このような状況は正義でしょうか。

 私は、この夏、多くの地域で、教育委員会の人たちや先生たちに講演会を行いました。いつも、話題になるのは、この旭川の事件のことでした。すべての教育長や先生たちは、週刊誌等による報道が真実であれば、お預かりした大切な命を守ることができなかった責任を取るのが、まずは教育者として当たり前の行動だと語りました。私もそう思います。

 旭川市の先生がたにお願いです。ぜひ、みなさんの知っている真実をきちんと話してください。この少女の死は、この少女の、この少女に関わったすべての教員や生徒、親への命をかけた最後の想いと訴えです。それが無になります。そして、本当の真実を明らかにして、責任を取るべき人は、きちんと責任を取ってください。そうしなければ、いじめた子どもたちが、これからネットなどで追い込まれていきます。

 理由もなくいじめる子どもは、存在しません。なぜ、この子どもたちが彼女をいじめたのか。なぜそれを教員や学校、教育委員会が対処できなかったのか。いじめた子どもたちの親が、なぜそれを防ぐことができなかったのか。きちんと明らかにしてください。

 そして、もし恥じることがあるならば、旭川の教育に問題があるならば、関係した教員、教育長、市長は、速やかに自らを罰してください。そうしない限り、旭川市の教育に明日はないでしょう。

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