白石和彌監督を見に行って、西野七瀬に心を奪われた話 映画「孤狼の血 LEVEL2」舞台挨拶ルポ

黒川 裕生 黒川 裕生

「(公開作がなく、撮影に集中できる)来年はちょっと暴れ倒してやろうと思っています。『孤狼の血』の続編も期待していてください。絶対に1よりも面白いものにしますんで!」

2019年秋。「ひとよ」公開前のインタビューの最後に、白石和彌監督がそう言って胸を張っていたのをよく覚えている。

そして2021年夏、ついにその「孤狼の血 LEVEL2」が完成。8月20日(金)から全国公開される運びとなった。これが白石監督の予告通り、面白すぎてとんでもなく“ヤバイ”映画に仕上がっているのだ。残念ながら本作でのインタビューは叶わなかったが、大阪の先行上映会で白石監督が舞台挨拶すると聞き、その勇姿をせめて一目拝もうと足を運んだ。

白石監督は前作「孤狼の血」(2018)の他、「凶悪」(2013)や「日本で一番悪い奴ら」(2016)などの骨太な作品で知られ、これまで数々の映画賞を受賞。容赦ないバイオレンス描写のイメージが強いが、本作「孤狼の血 LEVEL2」ではハラスメント防止の研修を取り入れるなど、実は撮影現場の労働環境改善に誰よりも心を砕いてきた人であり、スタッフや俳優からの信頼もあつい。

そんな白石監督が「絶対に1よりも面白いものにする」と宣言していた続編は、前作の3年後が舞台。伝説の刑事・大上(役所広司)の遺志を受け継いだ若き刑事・日岡(松坂桃李)は、権力を用い、広島の暴力組織を取り仕切っていた。しかしある日、出所してきた1人の“悪魔”によって危ういバランスが崩壊。事態が急転していく―。

柚月裕子氏の原作シリーズにはないオリジナルストーリーなのだが、この“悪魔”=上林組長を演じる鈴木亮平さんが常軌を逸した怪演を見せており、とにかく度肝を抜かれる。どう転ぶのか先が全く読めないスリリングな展開からも片時も目が離せず、私は見終わった後「どえらいものを目撃してしまった」という興奮がしばらく冷めなかったほどだ。

「まだここまでやっている映画がある」ことへの自負

8月16日夜、大阪の映画館「梅田ブルク7」で行われた先行上映会には、白石監督と、日岡と浅からぬ関係にあるクラブのママ・真緒を演じた元乃木坂46の西野七瀬さんが登壇。白石監督は開口一番、「去年の10月にみんなで力を合わせて撮った作品です。早くいろんな人に見てもらいたい。今はとてもテンションが上がった状態。ドキドキしながら公開を待っています」と自信を覗かせた。

コロナ禍での難しい撮影にはどう臨んだのか。司会者からのそんな質問には「衛生班というのを特別につくって、常に消毒、換気、検温する係を置きました」と説明。さすがだ。出演者らも現場では常にマスクを着用しており、本番でもヤクザ役がうっかりマスク姿のままカメラの前に出てくるといった珍事もあったという。

「『LEVEL2』というのは、前作よりレベルアップしようぜ!という願いを込めてスタッフみんなで決めたタイトル」と白石監督。「コロナ禍も含めて、肌にまとわりつくような息苦しさが続く昨今ですが、『まだここまでやってる映画があるんだ』ということにある種の痛快さを感じてもらえるはず。この映画を見て、嫌なことは全部吹き飛ばしてください」と客席に語り掛けた。

突然、西野七瀬にハートを射抜かれる

舞台挨拶ではさらに、白石監督が「今後、海外でも撮れるように」と英語を勉強し直していることも明かされ、「おお!」と胸が高鳴る瞬間もあったのだが、正直に言うと、この日、私の心を最も鷲掴みにしたのは西野七瀬さんの唐突な「久宝寺プール」発言であった。

大阪出身の西野さんは、“凱旋”の舞台挨拶に終始嬉しそうな様子だったのだが、司会者から「大阪で思い出深い場所は」と問われた際、「久宝寺(緑地)プールですかね。小さい頃、散々行ってましたので」と答えたのだ。キュウホウジ…大阪府八尾市…ローカルすぎる(笑)! さっきまでほとんど白石監督のことしか見えていなかったのだが、私は急に目の前の西野さんのことが気になり始めた。そういえば涼やかなワンピースも本当によくお似合いだ。なんて素敵な人なんだろう!

そんな素敵な西野さんも出演する「孤狼の血 LEVEL2」は8月20日から全国公開です。

【「孤狼の血 LEVEL2」公式サイト】https://www.korou.jp/

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