犬も猫も「退屈」は大敵!ストレスで身体を「舐め壊す」ことも 「夢中になれる何か」をつくってあげて 

小宮 みぎわ 小宮 みぎわ

あなたが飼われているペットがひとりでお留守しているとき、お家の中で何をしているのでしょうか?最近では、見守りに監視カメラを設置されておられる方も増えていますね。

犬猫は、新聞や雑誌が読める訳でもなく、スマホゲームもできず、お留守番はとっても退屈なのではないでしょうか?中には、鳥の動きを追った映像などの「猫チャン用の番組」を見たり、テレビゲームができる子もいるようですが…。

犬猫にお留守番させるときには、必ず外の景色を見ることができるように工夫していただきたいなぁと思っています。風にそよぐ木々、枝葉、たまに飛んでくる小鳥や虫、通行人…それらを見るだけで、犬猫はワクワクします。

最近、犬猫が身体中を舐めて舐めて、舐め壊してしまう、あるいは猫の場合ですと、被毛を全部舐めとってツルツルにしてしまうことがあります。これは何かのアレルギーといわれることもありますが、それ以外の可能性も考えられます。例えば、皮膚の過敏症、細菌やカビ、ダニの感染症、そして心/精神的な問題などです。これらの原因がいくつか複雑に絡み合って、舐め壊してしまうことがあると考えています。

犬猫は、基本的には時間に縛られることなく生きています。時間がたっぷりあるので、ついつい身体のお手入れを入念にし過ぎてしまいます。

以前に診察させていただいたシェルティ君は、去勢済みの10歳でした。年に何回か、特に今のような梅雨でムシムシしているときは、前足の肉球の間を舐めまくって真っ赤にただれ、歩くと痛みが出るので、飼い主さんが「先生~!またなっちゃいました!」と言って来られるのでした。

ところが。

ある年の春に、シェルティ君のおうちに、ピチピチのチワックス(チワワとダックスのミックス犬)女子4カ月齢がやって来ました。飼い主さんが新しく家族として迎え入れたのです。すると、そのシェルティ君はチワックス女子が気になって気になって…肉球を舐めている場合じゃなくなりました。そう、もういつもの皮膚炎で来院されることは、全くなくなってしまいました。

人間も犬も、老いても去勢してもなお、いつまでも「男」なんですね!?

かつて人間が狩猟生活をしてたころ、犬は狩りのお供であり、家や家畜を守る警備のお仕事をする番犬でした。一方の猫は、人間が農耕生活を始めてから、備蓄する食糧がネズミに食べられないように飼われ始めたといわれています。やはり、ネズミ退治という大切なお仕事を受け持っていたのです。しかし現在、昔ながらのお仕事はほとんどなく、狭い室内で飼われることが増えています。

これでは退屈ですね。この退屈からくるストレスで、犬猫はいたずらをしていろいろなものをかじって壊したり、トイレではないところに排泄したり、先にお話ししたように身体を執拗に舐めたり、無駄吠えをしたりといった行動をしてしまうことがあるのです。

ということで、犬猫が「夢中になれる何か」をつくってあげると、これらの困った行動はなくなるかも知れません。先にお話ししたように、新しい家族を迎え入れるというのはなかなか難しいですが、例えば、ご自宅にあるペットボトルで簡単なおもちゃをつくる方法もあります。

動画のように、ペットボトルの側面にひとつだけオヤツが通るサイズの穴を開けて、中に数個のオヤツを入れます。これを犬猫に渡すと、初めは中に入ったオヤツが取れなくてもどかしいのですが、次第に頭を使ってどうすればオヤツが出てくるのかを学習します。それができれば、今後はお留守番するときにそのペットボトルにオヤツを詰めて置いておけば、ひとりで遊んでいられるという訳です。最初は出来なくても根気よく何度か練習させるのがコツです。ただし、ペットボトルを咬み壊してしまうような子には、このおもちゃは不向きです。

また、その遊びをもう少し複雑で高度にして、警察犬のように、隠してあるオヤツを嗅覚を使って探してもらうゲーム、ノーズワークというものもあります。子供のころ、部屋の中で誰かが「宝物」をどこかに隠して、皆で探すゲームをされたと思いますが、それの「犬猫版」です。嗅覚を駆使して宝物=オヤツを探し当てます。「においを嗅ぐ」というのは犬猫の本能ですので、これは犬猫の種類や年齢に関係なく楽しめます。集中力や考える力を使い、適度な運動にもなります。ノーズワークをした後は、疲れるのか満足するのかぐっすり寝てくれるそうです。飼い主とのコミュニケーションを取る、楽しい時間となるでしょう。

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