「たまたま同じ本を手に取っちゃった」新しいマッチングサービス きっかけは条件重視のマッチングアプリへの違和感

桑田 萌 桑田 萌

近年、一般的となったマッチングサービス。顔写真や職業、収入、趣味、休日の過ごし方など、プロフィールを通して「いいね」を交わし合ってマッチングし、恋人関係に至る…そんな出会い系ツールだ。しかし条件に縛られた「作られた出会い」ではなく、やはり日常の中で自然に出会いたいと思う人も多いはず。例えば、本屋さんでたまたま同じ本を手に取って、運命的な出会いを果たしたり…。そんなある女性の思いが実際にマッチングサービスとして実現。そんな「Chapters書店」を取材した。

このサービスでは、登録者が毎月のテーマに合わせて選書された4冊の中から1冊選び、同じ本を選んだ人とビデオチャットできるというもの。お相手は開発側がランダムで選ぶため、誰と出会えるかはわからないようになっている。

また従来の出会い系マッチングサービスとは違い、Chapters書店では顔や身長、職業、収入などの情報は登録しない。ビデオチャットで通じる相手に「本を読む頻度」や「好きな本」が開示されるのみだ。

こうした「本を通じた偶然の出会い」の仕組みを生み出したのは、株式会社MISSION ROMANTIC代表取締役の森本萌乃さん。サービスを思いついたきっかけは、森本さん自身が抱いたマッチングアプリへの違和感だった。

「3年ほどマッチングアプリを使用していた時期がありましたが、疲れてしまって…。本当に誰かを好きになるのって、些細な仕草や言葉遣い、無意識に『この人ともっと話したいな』と感じたりすることがきっかけになるはず。それなのに、マッチングアプリでは年収や職業ばかりで男性を見定めてしまっていることに気づいたんです」

そんなときにたまたまテレビで放送されていたのが、スタジオジブリの映画『耳をすませば』。本を通じた出会いを描いた映画に感銘を受け、森本さんは「これだ!」と思いついたという。

「予期のできなさや先の見えないドキドキ感こそ、出会いの醍醐味。私は作られた出会いではなく、“偶然の出会い”ができるサービスが欲しかった。だから自分で作りました」

Chapters書店はマッチングサービスであるがゆえに、「人との出会い」に目が向けられがちだが、「本との出会い」も得られる。

選書された4冊は作者も作品名も明かされておらず、家に届いて初めて知ることができる。そのため、今まで読んでいた傾向とは違う本に出会うことができ、新たな世界が広がる。

森本さん曰く、「このサービスは28歳のころの自分に向けた応援歌」だそうだ。

「当時、どこか満たされない気持ちがあって、自分自身が何を求めているのかわかりませんでした。恋人がいないからなのか、友達がほしいのか、趣味が足りないのか…。Chapters書店に登録すれば、恋愛、友達、趣味、どれが欲しいかではなく、全ての予感がある。こんなサービスを求めていたんです」

森本さんがそう話すように、Chapters書店は「恋愛」に目的を限定していない。友達になってもいいし、ビデオ通話の日程を決めずに本だけ受け取るのもアリだ。そのため既婚者や恋人がいる人でも登録ができる。「恋愛マッチングアプリに生じがちな、“まだ会ってもいない相手へのモヤモヤするような期待感”もここにはありません。だから出会いへのプレッシャーがないんです」

森本さんは今後の展開についてこう話す。

「今は基本的に参加可能な日程と選んだ本の情報を頼りに運営が自動でマッチングさせていますが、今後は利用目的や住んでいる地域など、ニーズに合わせたマッチングができるようにしていきたいです」

■Chapters書店
https://chapters.jp/top

■招待コード:5X9YA
こちらを購入時に招待コードの欄に入力すると、初月を150円引きでお楽しみいただけます(1カ月・3カ月プラン共に利用可能)。

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