「軍事政権に利益供与したくない」ミャンマービールの提供中止を決断した、油そば店の「張り紙」が話題に

中将 タカノリ 中将 タカノリ

「多くの皆様に大変ご好評いただいておりました『ミャンマービール』ですが、軍事政権が販売している為、誠に勝手ながら2021年2月3日より、販売を停止させていただきます。」

ミャンマービール提供中止を告知する東京・高田馬場の油そば店「油そば力」の張り紙がSNS上で大きな注目を集めている。

現在、ミャンマーでは2月1日に国軍がクーデターを起こし軍事政権を発足。民主主義政権の指導者だったアウンサンスーチーを拘束し、抗議する市民に対し発砲を含めた弾圧を加えている。

「なんとなく入った油そば屋にビール販売停止のお知らせ貼られてたから緊急事態宣言の酒類提供停止かと思って読み進めたら想定外の理由だった」
「ミャンマーには本当に平和が訪れてほしい そして油そば食べてみたくなりました 油という名前がついてるからちょっと敬遠してたけど 今度頑張って食べてみます できればそこの店に行きたいなぁ〜」
「悪いものに知らず知らずに加担しないように、自分も気をつけて生活したいと思います。このお店にとても共感します。」

…など数々の応援、共感の声を集めたこの張り紙の背景にはどのような思いがあるだろうか。「油そば力」のご担当者にお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):ミャンマービールの提供中止を決めた経緯をお聞かせください。

担当者:ミャンマー軍が運営する会社が販売しているからです。ミャンマービールの販売を続けることはミャンマー軍にお金を渡してしまうことになるのです。ミャンマーから遠く離れた日本からではありますが、次の世代のためにも小さなことからミャンマー軍への抗議の気持ちを伝えていきたいと思い、今回の提供中止を決断させていただきました。

中将:日本では珍しいミャンマービールですが、「油そば 力」ではなぜ提供していたのでしょうか?

担当者:油そば力は店員が全員ミャンマー人です。店主が長い間日本で飲食について学び、日本で油そばのお店を出したいと思った時に日本の方々に少しでも良いからミャンマーについて知って欲しいと思い、油そばに加えミャンマー料理やミャンマービールを提供させていただいておりました。

中将:提供中止を告知する張り紙に対し、SNS上では大きな注目が集まりました。反響に対するご感想をお聞かせください。

担当者:SNSの反響については今回、取材申請時に教えていただいて初めて知りました。ある一人の方のツイートから私達のお店に興味を持ってくださったり、ミャンマーの現状との繋がりについてや、油そば力のミャンマービールの提供中止についてのご意見を沢山聞かせていただきとても嬉しく思います。それらをこれからのお店の経営に活かしていきたいと思います。

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【「油そば力」店舗情報】

▽所在地
東京都新宿区高田馬場3-12-1 久松ビル B1F~1F

▽公式サイト
http://www.aburasoba-chikara.com

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ミャンマービールを製造する「ミャンマー・ブルワリー」の大元はミャンマー軍系複合企業のミャンマー・エコノミック・ホールディングス。クーデター発生以来、資本関係のあったキリンホールディングスが合弁を解消し、ミャンマーはもちろん世界各国でも不買運動が広がっているようだ。

「お客様が"美味しい"といってくださる笑顔が1番嬉しく思いますし、"力"になります。これからもっと私達のお店『油そば力』や、ミャンマーという国について興味を持っていただけたら嬉しく思います。ミャンマーの現状が1日でも早く良くなり、元の平和で笑顔溢れるミャンマーに戻って欲しいです」と「油そば力」の担当者。その思いが早期に叶うことを期待したい。

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