夫が転勤族だから猫は飼えない、あきらめていた時に運命の出会い レオくんとソラちゃんが夫の気持ちを変えた

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

海外転勤が多いと、動物と一緒に暮らしにくいもの。国がかわるごとに検疫があり、一時的にでも離れ離れになります。それに、言葉が分からないと動物病院は大変です。

それでも、猫と一緒に暮らしたいと願った夫婦が愛知県におられます。Sさん夫妻です。子供がいませんから犬か猫をと、妻は常々考えていました。でも、夫の答えは「別にいらないでしょ」。妻は寂しい気持ちになっていました。

そんな時、妻の同僚が知り合いの家で猫が生まれたから、見に行こうと声をかけてくれました。なんでも、保護主さんの家の庭で兄弟5匹が固まっていたとのこと。母猫はそばにいないため、保護したのだそう。

生後約3カ月の子猫たち5匹のうち、貰い手が決まっていたのは3匹。妻の同僚が1匹貰う予定だったので、残り1匹です。その残り1匹の子が、妻を見上げました。

「かわいい!」

その瞬間から、その子の虜になってしまいました。その場で譲ってもらうことを決め、その日に連れて帰ります。

といっても、Sさん夫妻は猫と一緒に暮らしたことがありません。トイレもなければケージもない状態。慌ててホームセンターに走り、一通り揃えます。

子猫は「レオ」と名付けられます。優しく強い子になってほしいという願いから、映画『ライオンキング』の主人公から拝借です。でも、あとからよくよく調べてみると、『ライオンキング』主人公はシンバで、「レオ」は元ネタになった『ジャングル大帝』でした。ちょっとうっかり。

レオくんは夫妻に大切にされ、すくすく大きくなります。「別にいらない」と言っていた夫は、今ではレオくんにメロメロです。スマホのデータの多くは、猫の写真なんですよ。

とても可愛がられているのはレオくんもよく分かりますから、存分に甘えます。ただ、それは夫妻にとって身の危険を覚えるものでした。何をするのも全力だからです。噛むのも全力、猫パンチも全力。夫妻は生傷が絶えません。

これではいけないと調べていくと、多頭飼いをすれば力加減を学ぶようになると分かりました。そこで、ソラちゃんを迎えることになります。このソラちゃんは妻が通う美容室で生まれた猫。2匹の野良猫が居つき、それぞれ同時期に出産をしたのだとか。そのうちの1匹がソラちゃんです。

ノミだらけだったソラちゃんを綺麗にシャンプーし、少しの期間隔離。その間、レオくんは怯えまくっていたとのこと。

「なにかいるけど、なにかわからない……」

恐怖に打ち震える2週間が過ぎ、いよいよケージ越しに対面です。ソラちゃんはレオくんに興味津々なのに、レオくんはおっかなびっくり。近寄ろうとしません。この日はこれで対面を切り上げ、また次の日もケージ越しに対面してもらいました。

これを繰り返し、徐々に慣れていってもらいます。ソラちゃんは遊び相手がいるもんですから、とても嬉しい。「おにいちゃん、遊ぼう遊ぼう!」ともぐれつきます。慕われると悪い気がしないのか、レオくんも次第に心を開いていきました。

こうやって2匹で遊んでいるうちにレオくんも力加減を覚え、夫妻が流血をすることはなくなりました。こうなると、今まで以上にふれあいが増え、レオくんが一層愛おしく感じられるように。

レオくんが来てくれるまで、夫婦二人きり。会話もなんだか噛み合いませんでした。それが今では、レオくんやソラちゃんの話題で会話が弾みます。

最近になって夫は、これからの海外転勤は断って家を建てようかと言っているんですって。もちろん猫仕様のお家です。

世界中をまたにかけ仕事をするのも良いけれど、日本に腰を落ち着けて猫と暮らすのも楽しい。転勤族の夫妻はこれから、愛猫家夫妻として日本で暮らしていくようです。

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