あの高岡早紀(48)が空を飛び、工場の外壁を這いずり回る。その姿、さながらスパイダーマン!?フジテレビ系で放送されて好評を博した連続ドラマが、『リカ〜自称28歳の純愛モンスター〜』(6月18日全国公開)として映画化。愛ゆえに暴走していく自称28歳の純愛モンスター・リカの所業を、ポリティカルサスペンス風に描き出す。
ドラマ版に引き続き、リカを演じるのは高岡。劇場版ならではの作風パワーアップに「私はどうなってしまうのだろうか…と思った」と戸惑いつつも「この映画には『面白い!』しかない。それでいい!」と胸を張る。日本が誇る演技派・高岡早紀の矜持よ、今こそハリウッドに届け!
白眉は、ハリウッド映画『スパイダーマン』を彷彿とさせる壁よじ登りシーン。工場の外壁に張り付くべくジャンプする瞬間、高岡は真剣な表情で「シャッ!」という掛け声を発する。完成版をともに鑑賞した共演者の市原隼人、佐々木希、内田理央からは「高岡さんが空を飛ぶ瞬間に言う『シャッ!』が最高に面白い!」と絶賛されたとか。
「あの掛け声は台本にはなかったもので、撮影直前にプロデューサーから耳打ちをされました。『言った方が絶対に面白いから!』と。私は笑いに鈍感なのか、『シャッ!』があるのとないのとではそこまで面白さに違いがあるのか?と不思議でした。でもあの『シャッ!』にはこだわりがあって、後日アフレコスタジオで様々なパターンの『シャッ!』を収録したくらいです」と熱演報告。
納得するまでに時間を要したスパイダーマン
しかし当初の高岡は、リカが『スパイダーマン』化することに懐疑的だった。「空を飛んで壁をよじ登るということは、人間を超越することになります。ドラマ版では走り去るタクシーを全力で追いかけて間に合うという超人的脚力をみせましたが、情熱がそうさせたという解釈も可能。しかし空を飛ぶとなると…。自分の中で納得するまでに時間を要しました」と打ち明ける。腑に落ちたのは、またもやプロデューサーからの一言。「この映画は面白くていい!笑ってもらっていいんです!」と背中を押されたという。
名匠・深作欣二監督の『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994)でワイヤーアクションは経験済だが、今回のスパイダーマン場面では現代技術の進歩に驚いた。「アクションは元々得意ではないし、準備や装備など大変だという認識で消極的でした。でも今回は身体的苦痛もなく、怖くもありませんでした。スタッフの方々の技術力も素晴らしく、ピッタリと息が合いました」と大満足の見せ場となった。
ドラマ版は、放送のたびに高岡演じるリカの怖さとぶっ飛びぶりがSNSで話題に。それがついに映画館へと進出する。「正直な話、リカがここまで世の中に受け入れられたことは驚きです。普段は私の出演する作品に興味のない娘も、テレビから『雨宮リカ、28歳です』というセリフが流れてきた瞬間『は?若っ!』と面白がっていました。うちの娘のように世間の皆さんが面白がってくれる作品に出演できるのは嬉しいこと。まさか私が空を飛び、壁を這う役を演じる日が来るとは…」と女優業の摩訶不思議さを噛みしめている。