「うちに来る?」抱っこして即決 竹藪で保護され里親が決まらず残っていた子猫の里親に

渡辺 陽 渡辺 陽

モカちゃん(7歳・メス)は姉妹2匹で、竹藪で暮らしていた。TNR(T=TRAP「つかまえる」N=NEUTER「不妊手術する」R=RETURN「元の場所に戻す」)をしている八幡地域猫を考える会のボランティアが保護したが、不妊手術をするには小さく、リリースしないで里親を募集した。1匹はすぐに里親が決まったが、モカちゃんは残ってしまった。

 

竹藪にいた姉妹猫

京都府の八幡地域猫を考える会(TNR専門で保護はしていない)のボランティアは野良猫のTNRを行っている。2014年11月、不妊手術をした後にリリースするつもりで、竹やぶの中で暮らしていた2匹の姉妹猫を捕獲機で捕獲したが、生後3、4カ月、体重1200グラムで手術できるかできないかという小さな猫だった。ボランティアは、2匹をリリースしないで里親を探すことにした。ごはんを満足に食べられていなかったようで、お腹の状態が安定せず、便には小石が混ざっていたという。

京都府に住む柳生さんは、みーちゃん(20歳・メス)とふーちゃん(5歳、オス)という2匹の猫を飼っていた。どちらも保護猫だった。みーちゃんを亡くした柳生さんは、気持ちが落ち着かず、猫の里親募集サイトや猫のブログを毎日のように見ていた。

偶然、自宅の近所で活動している八幡地域猫を考える会のボランティアのブログを見つけて里親募集中の子を見ていると、1匹気になる猫がいた。

「みーちゃんは保護猫を迎えることに賛成してくれる、歓迎してくれると思い、すぐに連絡しました。姉妹2匹で保護されて1匹はすぐに里親さんが決まったが、モカだけ残っていてとても気になりました」

「うちに来る?」と即決

柳生さんは、お見合いの日にちを決めて一人で会いに行った。夫も大の猫好きなので柳生さんが一人で決めても問題はなかった。保護主は「人見知りで」と言ったが、柳生さんはそうでもないように思った。

「『キジトラ柄はなかなか(里親さんが)決まらないんです』とも言われたのですが、何柄でもめちゃくちゃかわいくて!抱っこして、『うちに来る?』と言いました」

家が近かったこともあり、お見合いに行った日の夕方に保護主がモカちゃんを連れてきてくれた。柳生さんはケージを組み立ててワクワクしながら待っていた。

柳生さんは、新しい子が来たときは1週間ほどケージに入れて様子を見るが、当時5歳だった先住猫のふーちゃんがこっそり引き戸を開けてモカちゃんと対面。モカちゃんはすぐ慣れてふーちゃんと仲良くなった。環境にはすぐに慣れたが、1~2カ月はお腹がゆるくなることがあったが、やがて安定した。

里親募集サイトに「モカ色のキジ猫」と書いてあったので、可愛いなと思い、「モカちゃん」と名付けたという。

微力でも保護猫活動の力になりたい

モカちゃんはおっとりしていてマイペース。甘えん坊で、柳生さんのことを後追いしたり、腕枕で寝たりしている。20歳のみーちゃんが亡くなって落ち込んでいたが、モカちゃんとふーちゃんのおかげで立ち直れたという。

柳生家は猫が増えるにつれ(現在3匹)、どんどん猫中心の生活になっていき、猫のために家を買い、猫のためにDIYをした。「子供がいないので、会話は猫のことばかり。猫友さんに『猫はかすがい』と言われて、本当にそうだなと思いました」。柳生さんは、八幡地域猫を考える会のボランティアの活動やTNR、保護猫たちを取り巻く環境などについて詳しく調べるようになった。

「少しでも力になれるように、個人的にチャリティーグッズを作ってイベントを開催したり、里親募集などのポスター製作やインスタでの募集の管理などをしたりしています。直近では、大丸京都店でチャリティーイベントを開催することができ、沢山のお客様に来ていただくことができました」

モカちゃんを飼ったことを機に活躍の場を広げている柳生さん。「ペットショップに行く前にぜひ保護猫に目を向けてほしい」と言う。

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