イヤイヤ期が終わったと思ったら…またイヤイヤ期? 試してみて「忘れちゃった作戦」「ほめて乗せる作戦」

長岡 杏果 長岡 杏果

最近、保育園のママ友から「イヤイヤ期が終わったと思ったら、また“イヤイヤ期”がやってきたみたい」という話を聞きました。自分の思うことをどんどん『主張』をするようになって、言うことを聞いてくれないというのです。

いわゆるイヤイヤ期とは、自我が芽生えることによって、されるがまま・言われるがままだった状態から、自分の主張をするようになる成長過程の一つです。嫌い・したくないことを「イヤ」というだけでなく、服を着るなど、自分の力でやってみたいときに手伝おうとすると、「イヤイヤ」と言って、かんしゃくを起こして泣き出してしまい、手が付けられなくてほとほと困ったという方も多いのではないでしょうか。

そして、イヤイヤ期が終わったと思ったら、今度は語彙も増え、自己主張をするようになった子どもと口げんかになってしまうというのです。新たな“イヤイヤ期”の到来に、困惑してしまう家庭も多いようです。

自我が芽生えて、より言うことを聞いてくれなくなった子どもたちに、ママたちはどうすればいいのでしょうか。3人の子どもを育てるMさん(30代・岡山県在住)に、有効な作戦を教えてもらいました。

パパ・ママ忘れちゃった作戦

お風呂やトイレなど、現在の場所から移動しなければならないときに有効なのが、「パパ・ママ忘れちゃった作戦」です。これは子どもに行きたい場所がどこにあるかを教えてもらうことで、機嫌を損ねることなく一緒に移動できてしまうという方法です。

例えば、「お風呂に入ろう」と言って「まだテレビが見たい」などと言われたとき、「ママ、お風呂の場所忘れちゃったから連れてって」と伝えると、「も~ママったら」と言いつつも連れて行ってくれます。4歳くらいになると、「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」といったワードに憧れを抱く子が多く、頼られることがうれしく感じるようです。

応用として、「このミニカーどこにしまうんだっけ?」など、特定のおもちゃの片付け場所を聞くのも有効です。そのおもちゃを片付けることができたら「さすが!」と褒めちぎると、どんどん他のおもちゃも片付けてくれるでしょう。

最近あったことを褒めて気分を乗せる作戦

命令されるより、おだてられるといい気持ちで、すぐに行動に移せるのは大人も子どもも同じです。全然関係のないことを褒めて、気分を乗せてしまいましょう。

例えば歯磨きをしたくないと言われたとき、まずは少し時間を空けます。そして「今日、朝のご挨拶上手だったね!かっこよかった!」といったように、全然関係ないことでいいので褒めます。そのあとに、「歯磨きもかっこよくできるかな?」と、「してほしいこと」を伝えましょう。

コツは、できるだけその日にあったことを褒めることです。また、「今日保育園で朝のご挨拶上手だったんだよ」「給食のピーマン食べられたんだって!」と、夫や親などの同居している家族へうれしそうに伝える様子を見せるとさらに効果的です。

気持ちを一度受け止めてあげるのが一番大事

ここまで2つの作戦を紹介しましたが、やりすぎも禁物です。子どもが気持ちよく行動に移せることには変わりはないのですが、子どもの気持ちに寄り添う姿勢が少なく、親の都合で動かすことになるからです。一般的なイヤイヤ期の対処法としてもよく紹介されますが「まだ遊びたいよね、よくわかるよ」など、まずは本人の気持ちを一度受け止めるということが一番大事なことです。

例えばごはんの準備をしてくれないとき、なぜしたくないのか、という気持ちをまずは聞き、「このパズルを完成させたいから」と言われたら少し待ってあげたり、一緒に完成させたりすると、子どもは自分の意見を尊重してくれた、と感じます。

「もう少し遊びたいから」と漠然とした気持ちを言われたら「時計の長い針が3になったらおしまいね」と区切りをつけつつ待ってあげるなど、融通を利かせてあげるのもよいでしょう。交渉する力や時間感覚が身に付くきっかけとなり、たとえば「3時まで」といった約束ができるようになります。

そして一番大事なのは、子どもの気持ちを受け止め、期限を決めたときに「なぜ期限を決めるのか」という理由や気持ちをきちんと伝えることです。「ごはんができたから温かいうちに食べてほしい、遅くなるとまた温めないといけないから大変」「お風呂に早く入らないと、あとから入る人も遅くなる」と理由を伝えることで、親の気持ちを考えることができるようになります。自己主張だけでなく、相手の立場になって考えられる力や想像力を育てることが大切です。

親も子どもも自分の気持ちを押し付けずに、理解しあうよう心がけるだけで、お互いが気分よく過ごすことができます。親の都合で子どもを動かそうとすると、どんどん言うことを聞かなくなり、親もさらに強く言うようになって…と悪循環となってしまいます。

言うことを聞いてくれないときは、一度深呼吸をして、思いやりの心・交渉力・時間感覚・自尊心を育てるためのチャンスだと考えを変えてみましょう。小さい体で一生懸命主張してくる子どもが改めて愛しくなるのではないでしょうか。

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