「女子高生の話言葉を全部敬語に直した校正がいた。しかも『小学生で学ぶ文法です』と書いてあった」
小説家のわかつきひかるさん(@Wakatuki_Hikaru)が投稿したエピソードがSNS上で大きな注目を集めている。
出版社やメディアには、書き手の文章の文法や内容の正誤をチェックする校正の部署がある。基本的には書き手にとってたいへん有難い存在なのだが、ごくまれに勝手な思い込みで文章の肝心な部分やニュアンスまで改変してしまう校正者がいるのもまた事実。
わかつきさんの投稿に対しSNSユーザーたちからは
「頭のなか小学生のまま校閲者になったんでしょうね。
『だって学校で先生にこう習ったんだもん!」』
小学校で習ったことがこの世の全てだと思ってた時期がおいらにもありました。」
「これは失礼すぎる。
真っ当な校正者ならやってはいけないことを、
平気でしているのは何故だろう。
作家さんの文章を勝手に触ってはいけない。
疑問を出す時は作家さんに失礼にならないように神経を使うものなので理解に苦しみますね。
担当さんも事の重大さが分かっていない様子。
大変でしたね。」
「校正者が赤入れて良いのは
・あきらかな誤字脱字
・「てにをは」がおかしい場合
・表現のぶれ(下さい、ください、が混在)
くらいなんですがねぇ」
など数々のコメントが寄せられている。
わかつきさんにお話をうかがった。
中将タカノリ(以下「中将」):件の校正済み原稿をご覧になった時のご感想をお聞かせください
わかつき:「なんだこれ?」と思いました。腹が立つというより、笑ってしまいました。
中将:校正担当者はどのような人物だったのでしょうか?
わかつき:社内校正室のベテランの女性の方で50代後半なのだそうです。普段は辞書を編んでいらっしゃるそうです。担当者は「わかつき先生のおっしゃる通りです。この人が担当すると、作家さんがみんな怒るんです」とため息をついていました。
中将:担当者にご相談された結果、校正を差し戻すことはできたのでしょうか?
わかつき:担当者が「校正は無視してください。ボクががんばって誤字のないようにしますから」と言ってくれたので、校正者の赤に×をつけました。
ですが、私は文法が弱いとわかったので、文法を勉強して、今は小説教室の先生をしています。
中将:今回の反響へのご感想をお聞かせください。
わかつき:みなさんを驚かしてしまいましたが、25年間、150冊ほど出版して校正に困らされたのはこの件だけです。校正者さんはみなさん博識ですばらしい方ばかりです。
「わかつきひかる」プロフィール
小説家。奈良県在住。1997年からライターをはじめ、別ペンネームを含めてこれまでに出版された著書は約150冊。2001年、ナポレオン大賞授賞。2007年、幻冬舎アウトロー大賞特別賞授賞。2011年、宝島社日本官能文庫大賞・岩井志麻子賞受賞。2014年、「ニートな彼とキュートな彼女」がテレビドラマ「世にも奇妙な物語」(フジテレビ)で映像化。今年6月に美少女文庫から新刊が出版予定。
通信添削やワンコイン小説教室も好評を得ている(詳細は公式サイト)。
公式サイト:http://wakatukihikaru.com
公式ブログ:https://plaza.rakuten.co.jp/wakatukihikaru/
Twitterアカウント:https://twitter.com/Wakatuki_Hikaru
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「校正」と聞くと一般の生活とは縁遠いことと感じるかもしれないが、わかつきさんのエピソードのように独りよがりなお節介で仕事を妨げたり不快な思いをさせられることはけっこうな"あるある"だと思う。業務と言えども他人の仕事に口出しする時はくれぐれも礼節と配慮を忘れずにいたいものだ。