学生の街・京都では、4月から多くの学生が新生活をスタートさせる。初めての一人暮らしで、慣れない自炊をする学生に気をつけてほしいのが火災だ。京都市消防局によると、炊事に慣れない学生が「珍しい火事」を起こしてしまうことが散見されるという。京都市消防局に、最近の「珍」火災と予防策について聞いてみた。
■ケース1 それはやかんではない
2018年春、京都市内の友人宅を訪れた学生は、お湯を沸かそうと、やかんをガスコンロにかけた…つもりだった。
しかし、実際にコンロで火にかけていたのは、電気ケトルだった。もちろん、電気ケトルは、電気の力で水を加熱するのであって、直接火にかけてはいけない。ガスコンロ上の電気ケトルはほどなく出火し、火災となった。
学生は、これまで使ったことがない「やかんのような形の物」を、やかんと間違えてしまったらしい。
■ケース2 天ぷら油を沸騰させようと
2019年春には、京都市内の自宅アパートで天ぷらを作っていた学生が、天ぷら油をコンロで加熱しすぎて火災を起こしてしまった。といっても、火にかけているのを忘れたり、目を離したりしたわけではない。
天ぷら油を加熱し続け、適正な温度を超えると、油が気化して「湯気」のような煙が発生する。これは可燃性のガスで、そのまま加熱すると360度前後で発火する。
しかし、学生は煙が出てきたとき、「まだまだ、お湯のように『ぶくぶく沸騰』するまで熱さないと」と勘違いし、そのまま火にかけ続けて出火したという。
■ケース3 電気コンロ上で雑巾が
2019年春には、学生が自宅アパートの電気コンロ上にぞうきんを置いたまま加熱し、出火するぼやもあった。電気コンロは2口あり、学生はもう片方で鍋を加熱しようとしたのだが、使い慣れていなかっため、間違ってぞうきんが置かれた側のスイッチを入れてしまっていた、という。
これらの火災はいずれもぼやで済み、軽いやけどをした人がいたくらいだったが、一歩間違えれば重大な事態になりかねない。
京都市消防局は「新生活を始めた頃は、初めて使う調理器具を間違って使ったり、調理法を勘違いしたりして、火災を起こしてしまう学生さんがいます」とし、「初めての自炊は誰もが体験する。器具の使用方法や調理法をきちんと確認し、キッチンは調理の火が引火しにくいよう整理整頓を」と注意を呼び掛けている。