お笑いコンビ、さらば青春の光・東ブクロが、ピンでは初となる冠番組「さらば青春の光 東ブクロの学生芸人YOAKEMAE」(ラジオ関西、日曜深夜24:00~24:30)を4日、スタートさせる。大阪芸術大学・落語研究会出身のミルクボーイや、上智大学・Sophia Comedy Society出身のラランドら、学生時代から舞台に立つ“学生お笑い”出身の芸人たちがお笑い界を席巻中。自らも同志社大学の喜劇研究会出身で、学生時代はカズレーザー(現「メイプル超合金」)とコンビを組んでいた東ブクロが、パーソナリティとして新番組の中で、なぜ今「学生芸人」がアツイのか?「元・学生芸人」や「現役学生芸人」をゲストに迎え「学生芸人とは何か」を探るという。
きっかけはナイナイのオールナイトニッポン
――東ブクロさんは、『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)が好きで芸人を目指したそうですね。どんなところに魅力を感じていたんでしょうか?
【東ブクロ】僕、ナイナイさん(「ナインティナイン」)と地元が一緒(大阪府茨木市)なんで、話していることが手に取るように分かるんですよ。そのときに、「テレビでこんなこと話せへんのに、ラジオならこういうのを聴けるんや」と思って。それでハマった感じですね。「テレビではあんな感じやけど、ラジオではこんな関係性なんや」みたいなね。あと、(ラジオは)なんかやりながら聴けるのも良いですよね。僕は受験勉強しながら聴いていました。そういうのは、今も変わらないおもしろさじゃないですか。
――この番組が始まると、ラジオのレギュラーが5つになりますよね。なかでも、「深夜×お笑い」のテーマで、一人の冠番組を持つのはこれが初めてだと思います。どんな番組にしたいですか?
【東ブクロ】「学生芸人っていうおもしろい子らがいるよ」というのが伝わる番組にしたいですね。皆さん、その実態をあんまり知らないでしょうから。(番組がきっかけで)「1回ライブに行ってみよう」とか(彼らに)還元できたらなと思いますね。普段、プロを観に行ってるお客さんも、学生芸人ならではのおもしろさが分かると思うんですよ。過激なことを言ったり、プロではせぇへん技を使ってくる芸人がいるので。あと、「この人はプロにならず、ちゃんと就職していくんやろな」とかも、ネタ中に垣間見えたりするんです。「こいつは弁護士になりたいからこういうネタしてんのか」みたいなのもいたりするので。そういう『学生芸人ならではのもの』を番組で伝えられたらなと思いますね。
――確かに初回分の収録から大学生ならではの葛藤が見えたりして、生々しさがあります。
【東ブクロ】「学生芸人ってこういうことなんや」と思ってもらえる回になると思います。
――東ブクロさん自身は、大学卒業後に就職するかプロになるか迷わなかったんですか?
【東ブクロ】僕は、就活したくないというのもあって、(大学)3年になった瞬間に松竹芸能の養成所に入ったんです。カズレーザーと解散後に組んでいた子はプロ志望ではなかったんですが、「松竹やったら行くよ」と言われて。吉本は、当時養成所代が40万円やったんですが、松竹は半額の20万円。「それなら払えるから、一緒に行ってええで」と。
――大学に入る時点で、プロになることは決めていたんですか?
【東ブクロ】中学の卒業文集に、夢は「吉本の漫才師」と書いてました。蓋を開けたら「松竹でコント師」をやっていましたが(笑)。全く逆のことをしてるなぁ……。ナイナイさんのラジオを聴きながら、中学くらいから(芸人に)憧れていましたね。
親に「大学は絶対行け」と言われていた
――プロを目指す方は、学生芸人をやらず養成所に入る選択肢もありますよね。なぜ大学で、喜劇研究会に入ったんでしょうか。
【東ブクロ】親に「大学は絶対行け」と言われていたんです。明らかに学力が足りていないから一浪するつもりやったんですが、奇跡的に同志社大学に受かりました。そしたら、「お笑いサークルあるやん、もうこれしかない」と思って。養成所に入るのを親に言い出せへんかったから、とりあえず大学のお笑いサークル入るかみたいな感覚でした。それで、1~2年やってみたら、なんとなく「いけるなぁ」と思って、松竹に入りました。
――東ブクロさんが学生芸人をしていたころは、どんな活動をしていたんですか?
【東ブクロ】閉塞的な感じはありましたねぇ。たまに他大学と交流はありましたが、月イチの(学内)ライブを成功させるために活動する感じでした。あとはもう、ひたすら飲み会(笑)。大学のサークルですから、学内で済ませようという感覚でしたね。よそで大会があるというのを聞いても、みんなエントリーもしなかったし。僕の場合は、カズレーザーに「こんなんあるからエントリーしとくわ」と言われて、何個か(大会に)出ましたが。ほかの部員は、そんなこと一切しなかったですから。そもそも「絶対プロなんねん」と言うてるやつはあんまりいなかったです。やっぱり、みんな将来を見据えてやっていた感覚がありましたね。
最初はドッキリだと思った
――学生芸人がテーマの番組でパーソナリティーをするというオファーが来たとき、どう思いましたか?
【東ブクロ】いや~「嘘やろ?」と思いました。「裏になにかあるやろ」、「どういう類のドッキリや」と(笑)。いろんな番組がありますけど、学生芸人さんにスポットを当てるというのが斬新で、けっこう勇気がいりますよね。「どんな人らがいるの?」って。僕が大学時代に出会った学生芸人を思い返すと、おおよそメディアに出していい人間がいなかったんで……(苦笑)。けっこう尖っているし、危険なことを言う人間も多かったので、「大丈夫か?」と。そういう意味では心配な面もありますが、楽しみですね。
――ドッキリだと思われたんですね(笑)。
【東ブクロ】(パーソナリティーは)「俺じゃないやろ」ってね(笑)。今なら、学生芸人出身感が強いのは、ラランドやから。よく僕が学生芸人だったのを「存じてくれてたな」という感覚がありましたね。
――先ほど2回分の収録が終わったばかりです。第1回のゲストは「トンツカタン」の森本晋太郎さん(国際基督教大学・ICUお笑い研究会出身)でしたが、いかがでしたか?
【東ブクロ】あいつが学生芸人やったとは、全然知りませんでした。(学生芸人出身者は)「学生芸人やってました」と言いたい人か、「言うのが恥ずかしい」というタイプか、どっちかやと思うんですよ。たぶん、森本くんは、後者なんでしょうね。よく1回目のゲストで来てくれたなぁ。貴重な話が聞けて良かったですよ。最初は「なんで森本やねん!」と思いました(笑)。
――私も収録を見学させていただきましたが、すごくおもしろかったです。
【東ブクロ】おもろかったですねぇ! でも、「まだ尖ってるな」と思いました。学生芸人出身ということに対して、イチモツ抱えているところもあるだろうし。あいつは「学生芸人」プラス「ハガキ職人」という“こじらせ方”をしているので。それでも、学生時代が垣間見えて良かったですね。
――第2回のゲストは、学生芸人「ゴゴサンケ」(早稲田大学・早稲田寄席演芸研究会)でした。現役の学生芸人さんと話してみて、いかがでしたか?
【東ブクロ】あのときの感覚が思い出せて「なつかしいな」とノスタルジーみたいなものを感じました。「(自分も)そんなことあったな」「そんな感じで悩んでんねやろな」とか、収録しながら不思議な気持ちになりました。あと、「あの頃は純粋にお笑いが好きやったよな」「今の感覚にはないよな」みたいな思いにもかられました(笑)。今は仕事になっているし、(思いが)変わってくるじゃないですか。(学生時代は)純粋に漫才やコントをするのが楽しい時期やったので、「いいなぁ」と思いましたね。
(まいどなニュース/ラジオ関西特約・堀越 愛)