先日、亡くなられた有名人のお家で家事手伝いをされていた方が、テレビでは見せなかった故人のお姿を語っている記事を読みました。確かに、多くの人に愛された方の意外な一面でしたが、もちろん悪気も何もないのは分かってはいるものの、やはり違和感を覚えました。
そもそもご存命中ならともかく、お亡くなりになられた方には本人の了承も取れませんし、ご遺族もあまり発信しておられないことを、ましてや週刊誌の取材に答えるというのも「??」。悪気も悪意もないのは充分伝わりましたが、仕事上知り得た個人の情報をそんなに簡単に発信していいのかな、と思うのです。
公務員や警察、消防、弁護士などの職業には法律で守秘義務が定められ、違反は罪になります。一般の職業でも労働契約などに規約が設けられている例は多く、それに違反すれば訴えられる事だってあります。でも、その「重み」はあまり一般的には伝わっておらず、もっと注意喚起すべきではないでしょうか。
私も以前住んでいた、同じマンションのご近所さんに「玄関リフォームしてるんですってね!」と声を掛けられたことがありました。何で知ってるの?と不思議に思って聞くと、マンションに出入りしている共通の業者さんのスタッフさんから聞いた、と。もちろんそのスタッフさんもご近所さんも悪気は一切なく、たまたま訪問した玄関の扉の色などが、同じマンションでも違うのに気付いて世間話のつもりで-という流れだったようですが。例えばもっと事細かに言われてしまうと防犯上の問題もあったり。
最近では、YouTubeやインスタグラムなどの動画撮影でも、背景に気を遣ってしまいます。私もですが、意外と映っている本人よりもその周囲をよく見ていたりするんですよね。「あ、オシャレなまな板や食器を使ってるな」とか「キッチン綺麗にしてるなぁ」とか。「あのブランドの物を置いてるんだ」とか。先日も、うちの猫がジャンプする動画を投稿しようとしたら、旦那さんが使っているTVのお手元用のスピーカーが映り込んでしまい、そのままにするのも何だか生活感満載なので、わずかコンマ何秒かのシーンなのに削除にかなり手間取りました(笑)。
少し脇に逸れるかもしれませんが、最近のニュースでもあった、仲間内でざっくばらんに話しているLINEの会話の内容、その内容の是非はともかくとしてそういったモノをメディアにさらす-というのも、「守秘義務」とまではいかないのかもしれませんが、いかがなものかと感じます。又、これから流れるTV番組等の内容も「ネタバレ」させてしまう事も。
外国では、情報漏洩を防ぐため、政権が交代すると様々な官舎で雇っているメイドさんも一緒に離職する事もあるそうです。言葉が理解できない方のほうが色々と口外される心配もないから安心だとして、外国人のお手伝いさんを雇われる方も結構いらっしゃると聞きます。芸能人は「みなし公人」と思われるのかもしれませんが、やっぱりそこはきっちりと線を引くべき。
仕事上知り得た個人情報は、たとえ「この程度なら大丈夫だろう」と思うことでも漏らさない。SNSなどが発達し、誰でも情報を発信しアクセスできる今だからこそ、もう一度考え直すべきではないでしょうか。