なかなか子どもに恵まれなかった夫婦がようやく妊娠。ところが、女性を待っていたのは、気分が落ち込む日々でした。赤ちゃんと幸せいっぱいになるはずだったのになぜ…。友人のAさんが、当時の苦しかった気持ちを寄せてくれました。
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ようやく妊娠!うれしいはずが気分が落ち込む毎日
結婚から3年目。なかなか子どもに恵まれなかった私たち夫婦の元に、ようやく赤ちゃんが来てくれました。
当時、私が20代前半だったこともあり、周囲は、まさか私が子どもがほしくてもできない体質だとは思っていなかったのでしょう。
「まだ夫婦でゆっくりしたいから子ども作らないの?」「早く子ども作って親に孫を見せてあげないと」と、さんざん言われてきました。
「しばらく子どもは諦めよう」と思っていた矢先、私たち夫婦は突然親になれたのです。
ようやく母親になれた喜びはひとしおで「これから赤ちゃんとの楽しい日々が待っている!」とうれしくなったことをいまでもはっきりと覚えています。
しかし、月日が経つにつれて私の気持ちは変化していきました。
楽しい・うれしいという感情をすっかり忘れ、夫と話すことさえ嫌になってしまったのです。
私たち夫婦の関係はギクシャクしはじめました。
ひどいときには「どうして、この人と結婚してしまったのだろう?」とさえ思ってしまうことも…。
気分が落ち込む毎日に戸惑いながらも、お腹の中ですくすく成長する子どもの成長だけが私の励みとなっていました。
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不安や感情の変化は出産によるもの?
彼女のように産前に心の変化が起きることも多いのですが、産後に起こる心と体の変化に戸惑う女性は少なくありません。
2018年に三菱東京UFJリサーチ&コンサルティングが実施した「妊産婦に対するメンタルヘルスケアのための保健・医療の連携体制に関する調査研究」によりますと、妊娠・出産・産後期間に不安や負担を感じている母親は8~9割いることがわかっています。
彼女は出産すると、今度は円形脱毛症に悩むように。髪の毛がポロポロと抜けてしまうなど、体の変化に戸惑ったといいます。また、出産から5年が経過した現在でも、妊娠中から続いていた睡眠不足は未だに解消されていないといいます。彼女のように多くの女性が出産を期に「不安」や「感情の変化」を感じているようです。
産前・産後による心と体の変化と上手に付き合うためには
産前・産後はなぜ、心と体に変化が起きるのでしょうか。それは、ホルモンバランスの仕業です。
妊娠中は「プロゲステロン」というホルモンが作用し、イライラや不安を引き起こします。
そして、産後になると、急激に女性ホルモンが低下します。そのため、イライラや抜け毛など心や体に変化が起きてしまうのだそうです。女性ホルモンは、私たち女性の心と体に大きな影響を与えるのですね。
このような産前・産後による心と体の変化について、一般的には「気分が落ち込むことがあっても、ある程度は仕方ないことと割り切って、深く考えないようにしたほうがいい」といわれています。しかし、ただし、心の不調が長引いたり、日常生活に支障をきたすほどになったりした場合は、病気が原因の可能性もあるので、早く病院に相談したほうがよいでしょう。
育児は長いこと続きますから、自分自身を守るためにも、ある程度割り切ることが大切。完璧な母親を目指すことは難しいと割り切って、時には力を抜きながら育児を楽しみたいですね。