黒田アーサーが還暦でボウリングのプロテストに挑戦!坐骨神経痛克服、ベストスコアは278

あの人~ネクストステージ

北村 泰介 北村 泰介

 「大それたことを考えています」

俳優の黒田アーサーは開口一番、そう言って笑った。還暦の節目を迎えた今年、プロボウラー資格取得テストに挑むという。

 少年時代は野球、大人になってゴルフに打ち込んだ。10年以上前から福島県で毎年開催されるボウリング大会に縁あって出場していたが、2年前、思うような結果が出なかったことから「負けず嫌いの性格」に火が付き、その日の深夜に東京ポートボウルに直行して練習。それを機に同所で毎週月曜に開催される「花きゃべつリーグ」に芸能人ではブラザー・コーンと共に参加している。

 練習は週2、3回。「ボウリングは甘いもんじゃない」と実感した。同ボウルの公式アンバサダーとしてYouTube番組出演など広報的な活動をする中でプロテスト受験を勧められた。

 「ちょうど1年前です。還暦という節目を前に、60歳でプロテストを受けるという無謀なチャレンジをやってみようと、自分の中でプロジェクトが始まった。受かったらすごいことですが、それは別にしても、ボウリング業界の全体を底上げし、人気をもっと高めたいという気持ちがある。桑田佳祐さん、コーンさんに続いてと言うとおこがましいですが、広報活動的な部分でもボウリングの面白さを伝え、活性化に貢献できたらと」

 プロテストは4月に実技の第1次がある。その前半は20日と21日に東京・品川で行われ、15ゲームずつ計30ゲームのアベレージ190以上で、22日と23日に東京ポートボウルで開催される後半に進み、計30ゲームのアベレージ200以上で5月の第2次(実技)に進出する。

 「ベストスコアは278。アベレージは190前後なので受験する資格はあるかと。もちろん甘いものではない。ただ、自分の中でワンチャンスあるとすれば『本番に強い』こと。自分のホームグラウンドが会場となる1次の後半には残りたい。散るならここで散ると(笑)」

 年齢は気にならなかったが、年明けに突然、体が悲鳴を上げた。坐骨神経痛だった。

 「初投げでボウルを動かそうとしたら、ウッ…と最初は小さな痛みが走ったんです。帰宅したら、痛みがひどくなって、立つのも厳しくなった。昨年はボウリング練習を毎週のようにやり、合間にゴルフもやった。自分の中では全然無理しているとは思ってなくても、体の方はストップだと。年末にアベレージ200以上を出し、いい感じで年を越していたのでショックでした」

 1月は休養し、2月1日に60歳の誕生日を迎えた。翌日、同ボウルで誕生祝いをして、練習再開。「焦るな、無理するなということを体が教えてくれた。テスト直前でなくて幸いでした」。2月27日には同ボウルで「黒田アーサー・プロテストチャレンジ」を開催。今後は実戦形式で勝負勘を養う。

 2月17日には東京・下北沢の本多劇場で無観客有料生配信の舞台に立った。「僕が朗読して、友人のミュージシャン・石川よしひろ君が歌うというスタイルの劇をやりました。これからはそういう舞台もやっていかなくては」。コロナ禍の中、俳優としても新たな企画に挑む。

 練習場に日本ボウリング場協会発行の「長寿ボウラー番付」が貼ってあった。「男性編」を見ると、80歳以上は3395人で、うち90歳以上の「横綱」は221人(いずれも昨年9月1日付)。黒田は「ボウリングは70代の矢島純一プロなど、高齢の方でも若い人に混じって優勝争いができ、年齢に関係なく息の長いスポーツ。60なんて、まだ番付にも出てないですからね」。還暦はまだ通過点だ。

 ボウリングは練習も試合もプロテストもマスク着用。「感染対策もしっかりと。今は慣れて、逆にマスクがないと裸でやっているような気持ちですね」。黒田はさわやかな笑顔をマスクで覆うと、マイボウルを手にレーンへと向かった。

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 黒田アーサー 1961年2月1日、米サンフランシスコ生まれ。82年にテレビドラマ「名犬ゴローの冒険 ビバ!カナダ」で俳優デビュー。NHK大河ドラマ「徳川慶喜」、NHKドラマ「不熟につき」(芸術選奨文部大臣賞)、映画「Deep Love」「仮面ライダー龍騎」、モノマネ番組等に出演。メガネブランド「Arthur K.」をプロデュース。身長173センチ、血液型O型、明治大学経営学部卒。

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