埼玉の県名発祥の地といわれる「前玉(さきたま)神社」(埼玉県行田市)の境内に住む4匹の看板猫が人気です。SNSには参拝客が撮影した猫たちの写真が並び、いつしか「猫が参拝客を道案内する」といったうわさ話までささやかれるように。真相を宮司さんに聞きました。
太古のロマン…古墳の上に建つ神社
同神社の建立は古墳時代までさかのぼります。国の特別史跡、埼玉(さきたま)古墳群に隣接し、浅間塚と呼ばれる古墳の上に建てられています。前玉彦命と前玉姫神という男女の神様が一緒にまつられていることから、恋愛成就や夫婦円満、縁結びの祈願に人気の古社です。
看板猫はきなこDX(デラックス、雌)、ガガ(雄)、さくら(雌)、ミント(雄)の4匹。約8年前、きなこDXが境内に迷い込んできたことをきっかけに、ご近所で飼育されていた猫までもが居着き始め、現在のメンバーに至ります。4匹の存在はクチコミやSNSなどを通じて拡散し、猫目当ての参拝客も増えました。
猫が先導してくれるといううわさは本当なのでしょうか。宮司の田島和文さんに尋ねると、「ごくまれにですよ。ごくまれにやることはあります」と笑って教えてくれました。
同神社の公式ツイッターアカウント「前玉神社」(@sakitama_jinja)が投稿した写真には、神事の厳かな雰囲気の中、宮司の真横にちょこんと座るきなこDXの姿が収められていました。参拝客らを引きつける理由がわかる1枚です。
4匹そろう特別御朱印、今年は郵送で
毎年、2月22日「ニャンニャンニャン」の猫の日にはたくさんの参拝客でにぎわう同神社。当日の目玉は4匹の似顔絵スタンプが勢ぞろいする「特別限定御朱印」ですが、今年は緊急事態宣言が発令中のため、神社での頒布は中止が決定しました。代わりに2月1日から郵送での頒布が始まっています。
今回だけは御朱印自体の中止も考えたという田島宮司。しかし「コロナで落ち込んでいる人も多く、また、毎年楽しみにしている方もいるので、うちの猫で少しでも癒されるのであれば」と郵送での対応に踏み切ったと話します。
いち早く手元に届いた人たちはSNSに御朱印の写真をアップし、「今は行けないけれど、コロナが落ち着いたらお参りに」「いつかご挨拶に行きたい」「すごくありがたい」「早く猫に会いたい」など、感謝の気持ちをつづっています。
「令和3年 特別限定御朱印」は前玉神社版と同神社の境内にある浅間神社版の2種1組。猫の透かし入り用紙に計8柄の猫スタンプが押印される。1500円。同神社ホームページの専用フォームから申し込み後、郵便局で定額小為替を購入し、同神社へ定額小為替証書を郵送する。5000セット限定。申込締切は2月24日。