青年男性向け週刊誌の雄「週刊プレイボーイ」最新号の新聞広告を見ていて、おや?と思いました。見出しに登場するグラビアアイドルや俳優の名前に全て「さん」という敬称が付いているのです。公式サイトを遡ってチェックしてみると、どうやら先週発売された2021年7号からこの仕様になっていた模様。この手の週刊誌としては珍しい試みが始まった理由は何なのでしょう。同誌の編集長、松丸淳生さんに聞きました。
人気女優やアイドルのグラビアから、ニュース、芸能人のコラムなどの充実したコンテンツで、20〜30代の男性を中心に支持されている週刊プレイボーイ。現在発売中の最新8号では、Instagramで100万人近いフォロワーを誇る“インスタグラビアの女王”こと似鳥沙也加さんが表紙と巻頭グラビアを務めています。
新聞広告では似鳥さんをはじめ、俳優の舘ひろしさん、人生初グラビアで話題を集めた女優の酒井美紀さんも敬称付き。公式サイトのもう少し詳しい告知ではさらに、新進気鋭のグラビアアイドル菊地姫奈さん、女優の大野いとさんにもやはり「さん」が付いています。
こういった週刊誌の広告で芸能人に敬称が付くのは、あまり例のないスタイルではないかと思われます。実際、週刊プレイボーイも2号前(6号)の広告ではまだ「さん」が付いていませんでした。
前置きが長くなりましたが、それでは松丸さんにご登場いただきましょう。
――まず端的に、どういう理由で始まったのですか。
「車内吊りと新聞広告において、数多ある広告の中で差異化を図るため、7号から全体をひとつのメルマガのように構成しました。(広告の)地の文にも『ですます調』が入っているのはそのためです」
「イメージとしては、番組のオープニングでMCが出演者をお呼びする感じです。すると、そこで“出演者”を呼び捨てにすると、なんか偉そうだなぁと。とはいえ『ちゃん』付けにするとすっごくダサい。ということで『さん』を付けた次第です。 面白くない理由ですみません」
――メルマガのように、だったのですね。敬称に気を取られていましたが、確かに地の文の書き方も7号からがらりと変わっています。では、敬称を付けたことによる読者の反響や、編集部内での意識の変化についてはいかがですか。
「読者からの問い合わせも確かに来ていますが、先ほどのようにご回答しています。現段階では、ネガティブなご意見はありません。 編集部内では、正直、松丸(私)がまた何か新しいこと思いついたんだな――くらいの反応です(笑)。これも面白くない回答ですみません」
――芸能人だけでなく、今後、例えば政治家や文化人などを広告の見出しに出す際にも「さん」を付けるのでしょうか。
「2月15日発売予定の9号の広告では、現段階で6人の文化人の名前がありますが、全員に『さん』が付いています。『MCによる紹介』のイメージなので、タレントだからとか、女性だからという分け方は考えていません。政治家などを出すことがあれば、恐らくまずは肩書を付けることになるでしょうけれども、最終的には、その号の広告全体の中で最もしっくりくる(そこは私の感覚です)言葉選びになると思います。あくまでも全体の文脈次第です」
――この「さん」付けの取り組みはこれからも継続していく方針ですか。
「そもそも私の思いつきでこのスタイルにしたので、気分次第ではまた変わるかもしれません」
気分次第でまた変わるかもしれないそうです!