西武高田馬場駅「整列乗車タオル」が「発想突き抜けてる」と話題、完売間近…誕生のきっかけを聞いた

北村 泰介 北村 泰介

 西武新宿線の高田馬場駅のホームにある整列表示を再現したデザインのタオルがSNSで話題になった。商品名は、同駅構内の売店で販売されている「高田馬場駅整列乗車タオル」。そのアイディアに「そう来るか!」とヒザの一つも打ちたくなるというものだ。さっそく現地で購入し、西武鉄道とグッズ製造会社の担当者に商品誕生の経緯や思いなどを聞いた。

 音楽ライター・編集者の松永良平(@emuaarubeeque)さんが1月15日に画像と共に「西武新宿線高田馬場駅グッズとしての発想が突き抜けてる。」と投稿。さっそく、高田馬場駅へ。入場券を買い、ホーム上階にある売店でタオルを買った。価格は税込1324円。サイズは横33センチ、縦85センチ。高田馬場駅の下りホームに実在する特急レッドアロー号と拝島ライナーの整列乗車シートを再現した今治産タオルで、「ご利用のお客さま」「特急券・指定券が必要です」といった文言と共に、乗客の立ち位置を示す靴跡などが記されている。

 製造元は神奈川県茅ヶ崎市に本社のあるアパマーケティング株式会社。同社の担当者は当サイトの取材に対して「社内で定期的に商品会議を行っており、その中で出たアイディアだったと思います。これまでも路線図や停車駅案内、種別方向幕、駅名板、つり革等、間接的な商材をモチーフにグッズの企画を行っており、乗車位置案内はいつか商品化したいと思っていたところ、西武鉄道さんのグッズご担当者様と意見が一致し、タオルでの商品化となりました」と経緯を説明した。

 工夫や苦労した点について、同社の担当者は「なるべく原形を崩さない様にしていますが、タオルの印刷は使える色数の限界もあり、近い色は同色にしてまとめました。また細かい文字の再現性も難しかったです」と明かす。今回の反響には「弊社の商品づくりは普段、誰もが使用する実用品と鉄道・バスグッズとのコラボなので、SNSで話題になった際には弊社の商品コンセプトがお客様に受け入れられたと感じ非常にうれしかったです」と手応えを示した。

 整列乗車タオルの発売日は2018年11月24日。当初は西武鉄道の駅ナカ・ コンビニ「トモニー」26店舗で販売。それから2年2か月、在庫数が残り少なくなったため、記者が購入した店舗(トモニー高田馬場駅橋上店)に全てが集められていた。西武鉄道によると、完売すれば販売終了となる。

 担当者は「きっかけはアパマーケティング様からグッズ担当へのご提案で、『面白い』と取り扱わせていただきました。発売した2018年は、3月のダイヤ改正で『拝島ライナー』が登場した年で、それにちなんでということと、両社の担当者が実際に高田馬場駅へ行き、ホームにある実際の表示を眺めていたら、だんだんと表示が『タオル』にしか見えなくなっていき、『これは!』と思い実現しました」と振り返る。ちなみに、現在、高田馬場駅ホームの表示は更新されたもので、タオルのデザインは当初の表示になるという。

 購買層は「鉄道ファンの方はもちろんですが、普段より高田馬場駅をご利用いただいている新宿線沿線にお住いの方にもご注目をいただいていると思います」と想定し、西武鉄道ではそれ以前からユニークな商品を生み出してきた。担当者は「2019年にデビューした新型特急『Laview』の黄色いシート生地を使用したクッションはご好評を頂きました。また、Laviewの製造時に検討用のモックアップ(模型)として制作された運転席を販売したこともあります」という。

 西武鉄道スタッフの思いを聞いた。

 「このタオルの在庫が少なくなり、最後は『ご当地』の高田馬場駅でゆっくりと販売をしていましたところ、最近になり販売数が増え始めたことでSNSの話題になっていることに気が付きました。『こんなタオルがあったのですね』とお客さまからのお問い合わせも増えました。最近は外出が難しい状況ではありますが、このタオルを足元に敷いて使っていただき、高田馬場駅で特急『小江戸』や『拝島ライナー』を待っている雰囲気を味わっていただくのも面白いと思います。これからもお客さまとつながり続ける商品を展開できればと思います」

 自宅の床に敷いたタオルの前に立ってみた。プラットホームならぬ、ステイホームで特急を待ってみようか。

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