“なにわのエジソン”の夢を叶えた、たった1つの会社 学生発明家のアイデアも応援!夢をカタチに

鶴野 ひろみ 鶴野 ひろみ

学生のガッツが生み出した商品

猫のシルエットがなんともかわいらしいコンセントカバー。生み出したのは、大阪市のプラスチックメーカー「旭電機化成」と大阪商業大学の女子学生だ。

大阪商業大学では、ビジネスに必要な企画・プレゼン力を養うことを目的に、新しい商品・サービスのアイデアを募集する「ビジネス・アイディアコンテスト」を毎年開催している。旭電機化成はこのコンテストの課題提供企業の1社。平成27年、同大学の学生だった平峠佑望さんは、コンテスト入賞をきっかけに同社のビジネスインターンシップに参加した。

そこで平峠さんは、トラッキング火災を防ぐ商品に着目。同社ではすでにそうしたコンセントカバーを発売していたが、ごくシンプルなそのデザインを一目見て「これは味気ないですね!」と大人たちにストレートな突っ込みを入れた。

「ほな、なんか考えてみてよ」。

原守男専務の一言を受け、平峠さんは猫をデザインしたトラッキング防止機能付きのコンセントカバーを提案。「おっさんばかりのうちの会社では出ないアイデア」として、原専務はその原案を受け入れ、サンプルづくりに向けて平峠さんと20回を越える打ち合わせを重ねた。

そして半年後、ついにサンプルが完成。しかし原専務は、「モニター評価が良くなければ製品化はしない」という条件を平峠さんに提示し、製品化の可否を決めるヒアリングイベントを開催した。約100名のモニターが集まった会場には、商品を一生懸命プレゼンする平峠さんの姿が。評判は上々で、「ねこのコンセントカバー」は見事商品化が決定した。

当時を振り返る原専務は、「平峠さんが会場で、モニターさん相手に商品の特長を一生懸命話していてね。ガッツのある子で、逆に僕たち大人の方が引っ張られましたわ」とうれしそうだ。

発明は革命的でなくてもいい

このビジネスアイディアコンテスト。実はこれまでに6つの商品が発売されているが、そのすべてに旭電機化成が絡んでいる。逆に言うと、同社以外からの商品化はゼロだ。

なぜか。それは、アイデアの商品化には、開発コストや特許、販路といった課題が山積みだから。一般人のアイデアというのは、1000個のうち3つが製品化されれば良しとされる狭き門。ハイリスク・ローリターンなアイデアに本気で耳を貸す企業はごく少ない。

しかし、原専務は社内外からアイデアを広く募り、その製品化に向けて積極的に動いてきた。そこには、「発明家を応援したい」という、なんともあたたかな想いがある。

「発明家って、アイデアをカタチにしたいという想いがすごく強いんやけど、それに耳を貸してくれる企業はほとんどない。でもね、その熱意を受け止めて、なんとか製品化することができれば、その人は人生の中で一度だけでも自分の発明品を世に送り出すことができるわけです。その経験は、発明家にとってたまらないものやと思うんですよ」(原専務)。

大阪のテレビ番組などで「なにわのエジソン」と呼ばれている珍発明家・木原健次さんをご存じだろうか。

かぶりものに卓球のラケットを付け、顔を動かして卓球をする「顔面ピンポン」など、実に5000点以上の珍発明を生み出しているが、そのどれもが「おもろいけど実用性に欠ける」として採用されなかった発明家だ。

そんな彼の唯一商品化された発明品「串抜き皿」(手を汚さずに焼き鳥などの串を抜ける皿)を手がけたのも、実はこの原専務。

「一つも採用されない木原さんの珍発明の商品化に、テレビ番組の企画で協力することになったんですわ。串抜き皿(2枚入り)はテレビ効果で12000セットくらい売れましたけど、まあ、製品化にかけた費用を回収できたくらいで利益はほぼ出てません」と楽しそうに笑う。

「けど僕は、発明って世の中がひっくり返るような革命的なものでなくてもいいと思うんです。ちょっと人のお役に立てる、ちょっと笑顔になれる、そんなもので十分やと思ってる。そういう商品を世に出すお手伝いができて、発明家の人と一緒に喜ぶことができたら、それだけでほんまにうれしいんですよ」。

噂が噂を呼び、同社にはさまざまな珍発明が持ち込まれるそうだが、「笑うしかない」といったアイデアでも、「それはそれでおもろい」と持ち込みを制限しない原専務。若者たちが経験や自信を積む場を提供するためにも、学生とのタイアップも続けていくという。

原専務と浪速の発明家たちの「小さな幸せ」への挑戦はまだまだ止まらない。

 

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