離婚してハキハキ話すようになった友人。たくましくなった?と思っていたら…子どもを守る「防犯対策」でした

長岡 杏果 長岡 杏果

警察庁の発表によると、13歳未満の子どもが被害者となった犯罪が占める割合は近年上昇傾向にあるようです。みなさんも、ニュースで流れる痛ましい事件に胸を痛めたり、憂鬱な気持ちになった経験があると思います。

2018(平成30)年の統計によると、13歳未満の子どもが被害にあった強制性交等、公然わいせつ・強制わいせつ等の認知件数は年間995件。この結果に、娘を一人で育てる私は不安に駆られていました。

そんな時、同じシングルマザーで年長の娘さんがいる友人と、子どもの防犯対策について話す機会がありました。彼女の防犯対策はシングルマザーならではの悩みと工夫が凝らされていて、目から鱗だったのでご紹介したいと思います。

自宅でできる防犯対策

友人はシングルマザーで実家が遠方のため、子どもと二人暮らしです。最近は隣近所とのつき合いも希薄になっているため、どんな人が住んでいるのか分からないことが不安だったそうです。

そこで友人は、あたかもパパがいる一般家庭のような雰囲気を作っているそうです。具体的には、家に帰ったら誰もいなくても「ただいまー!」と大きめの声で言ったり、夜出かけるときはたまに電気をつけっぱなしにしていると話していました。また、男性用シューズを購入し、玄関に置いておくことも忘れないそうです。洗濯物はベランダに干さないそうですが、男性用の下着のみを定期的に干しているとも。

「やりすぎでは?」と思ってしまうような徹底ぶりですが、「本当に何かあったときに一人で対応するのは難しいので、最初から不審者やストーカーに狙われないようにするのが一番なの」と言われて納得してしまいました。性犯罪は起こってからでは取り返しがつきませんので。

不審者を遠ざける工夫

娘を安全に育てるため抜かりのない友人ですが、彼女の防犯対策はまだまだありました。自宅だけでなく、普段からの立ち振る舞いや生活習慣にも気をつけているそうです。友人はもともと穏やかな性格で、どちらかというと引っ込み思案なタイプでした。ですが、離婚してからはハキハキと物事を話すようになり、「やっぱり離婚するとたくましくなるよね」なんて私は思っていたのですが、どうやら違ったようで。

友人いわく「不審者から狙われないようにわざと堂々としている」とのこと。性犯罪者や不審者は人を見て犯行に及ぶため、彼らが嫌がりそうな女性を演じていると話していました。確かに、いたずらをして大騒ぎしそうな女性をわざわざ狙う不審者はいないですよね。また、娘にも常日頃から「恥ずかしいことじゃないから、嫌なことをされたり怖かったら大声を出しなさい」と、黙って被害に甘んじない姿勢を教えているそうです。

別の友人が「若いときは高い靴を履いて派手な化粧をしていたから、ぶつかられることなんてなかったのに、妊娠して優しい雰囲気になってから急にぶつかられることが増えた」と言っていたことがありました。駅のホームや改札での妊婦への体当たりが一時期問題となりましたが、世の中には「やり返さない相手を選んで暴行や嫌がらせをする」人間も一定数いるのかもしれません。そういう人間に「この人はやり返してきそう、気弱ではなさそう」だと思わせることが有効だと思いました。

さらに友人は「保育園から帰宅したら基本的に家を出ない」と話しました。「暗い時間は家にいるものだと、感覚的に染み込ませておきたい」という理由だそうです。この対策は生活スタイルによって難しい場合もありますが、子どもが思春期に突入した後の防犯対策として有効だなと思いました。

現状はできることをするしかない

「子どもの見守りの強化や、子どもを対象とした犯罪をより厳罰化してほしいが、現状はできる対策をするしかない」と友人は話していました。保育園や幼稚園に行っている間は大人が常についてあげられますが、小学校に上がればそうはいきません。また、母子家庭だけではなく、最近は共働き家庭も増えてきているので、ますます、親が常に子どもを見守ることが難しくなってきています。

防犯対策を軸に生活してしまうと24時間気が抜けず、毎日が息苦しくなってしまいます。私も子どもが被害者となった痛ましい事件を目にした後、考え込んでしまって眠れなかったことがありました。友人の対策はかなり徹底していましたが「ハキハキと話す」「堂々とする」「家に人がいなくても、"ただいま"と"いってきます"を言う」などの方法は、気軽に無理なく実践できるのではないかと思いました。

子どもたちの安全は親にとってはもちろん、社会にとっても重要な課題であり、絶対に守られるべきものです。子育てがしにくいと言われる時代ですが、大切な子どもたちが悲しい思いや辛い思いをなるべくせずに、健やかに育っていくことを望みます。

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