6m四方の屋根に3m雪が積もると…その重みは「小ぶりな力士324人分」…雲研究者の注意喚起が話題に

中将 タカノリ 中将 タカノリ

「雪の重さは想像しにくいので描いたもの.新雪だと積雪1cmで降水量約1mmですが,実際には上に積もる雪の圧密で降水量約3mm相当です.豪雪時に3m積雪すると1m四方で100kgの小ぶりな力士が9人(0.9t),6m四方の屋根で324人分(32.4t)の重さに.雪は案外重いので雪下ろし中の事故も含めて危険なのです」

屋根に積もった雪の重さ「力士」で表現した注意喚起の投稿がSNS上で大きな注目を集めている。この投稿の主は雲研究者で気象庁気象研究所研究官の荒木健太郎 (@arakencloud) さん。

6m四方の屋根に3mの雪が積もると、その重さは小ぶりな力士324人分…そのイマジネーションをかきたてる独特の表現にSNSユーザー達からは「某物置どころの人数や無いんですね(汗)」「雪降ろしの重要さは、よくよくわかります。一晩で2メートル、3メートルも積もる所では一刻を争いますもんね。僕がいつも思うのは、屋根に雪が積もらないように出来ないのか?です。雪の量がハンパではないので不可能に近いかもしれませんが…」「3mの想定は難しいでしょう。多くて2m程度だと思います。3mに至る前に倒壊してしまう。2mを超える前に雪下ろしをする。軒先1mを超えると軒が折れる」「雪下ろししなくてもお相撲さんが降りてきてくれたらいいのに。」など数々のコメントが寄せられている。

今回の投稿について荒木さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):たいへんイメージしやすい表現でしたが、雪の重さを力士で表現しようとひらめかれたきっかけをお聞かせください。

荒木:雪の重さは雪国の方はよく知っていることですが、ふだん雪の多くない地域にいる方にとっては想像がしにくいので、何か別のものでイメージしやすく図解しようとしている際に、100kgくらいのものを探していて(小ぶりな)力士を思いつきました。

中将:このところ全国的な大雪が続いているので、荒木さんのご投稿は注意喚起としてもベストタイミングでしたね。

荒木:以前の投稿で大雪への備えをまとめたものがありますのでご活用ください。みなさんに雪に対する備えを改めて確認していただければと思います。

   ◇   ◇

▽荒木健太郎(あらき けんたろう)さんプロフィール

雲研究者、気象庁気象研究所研究官、博士(学術)

1984年生まれ。茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。地方気象台で予報・観測業務に従事した後、現職に至る。専門は雲科学・気象学.防災・減災のために、豪雨・豪雪・竜巻などによる気象災害をもたらす雲の仕組み、雲の物理学の研究に取り組んでいる。著書に『雲を愛する技術』、『世界でいちばん素敵な雲の教室』、『雲の中では何が起こっているのか』、『せきらんうんのいっしょう』、『ろっかのきせつ』など。監修に映画『天気の子』(新海誠監督)、『天気と気象の教科書』(Newton別冊)、『気象のきほん』(Newtonライト)などがある。

公式サイト:https://www.mri-jma.go.jp/Dep/typ/araki/

   ◇   ◇

荒木さんは著書「世界でいちばん素敵な雲の教室」(三才ブックス)でも雪の重さを力士で表現している。雲のしくみをはじめとする、空に関するさまざまな現象を美しい写真とともにシンプルなQ&Aで解説しているので、ご興味のある方はぜひ手にとっていただきたい。

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