2020年6月に「職場におけるハラスメント防止対策」が強化されたことに伴い、職場におけるセクシャルハラスメントの防止対策も強化されました。
厚生労働省では、職場におけるセクシャルハラスメントの定義を「職場において行われる、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されること」と示しています。
私の職場ではパワーハラスメントやセクシャルハラスメントに対する勉強会が開催され、とくに各部署の所属長からは該当する行為は決してしないようにと話がありました。
これまで職場内でのセクシャルハラスメントがあったという話は聞いたこともなかったので、自分の職場ではそのようなことはないと思っていました。しかし、友人は大変な経験をしたようです。体験を寄せてもらいました。
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運転席のドア一面に…乾いた白っぽいキスマーク
私は職場に駐車場があるため、車で通勤しています。仕事を終え、車に乗り込もうとドアの取っ手に目を向けた瞬間、思わず「うわっ!」と声を上げてしまいました。
運転席のドア一面に乾いた白っぽいキスマークがついているのです。目を疑った私は、車を一周するとなんとボンネットから助手席まで同じようにキスマークが無数についていました。
気持ち悪くてドアを素手で触ることができなかった私は職場に戻り、同僚に事情を説明しました。その話を聞いていた上司がすぐに「洗車した方がいい」と言ってくれ、駐車場で洗車を手伝ってくれました。
犯人は!洗車を手伝ってくれた上司だった
翌朝、車で通勤した私に声をかけてくれたのは、職場の隣にある会社の方でした。「昨日は大変でしたね。うちも隣だから気をつけなければいけないです」と不審者に注意するとのことでした。
私も不審者がたまたま私の車にいたずらをしたのだと思っていたのです。
しかし、その日も仕事を終え、駐車場に向かうと、なんとまた同じように車に無数のキスマークが!
思わず「嘘やろ!」と大きな声を出してしまった私に、隣の会社の方が駆けつけてくれました。
手にはビデオカメラを持っており「これ見てください」と撮影したという映像を見せてくれました。
そこに映っていたのは、私の車にキスをしているスーツ姿の男性でした。よく見ると、昨日洗車を手伝ってくれた上司だったのです!
セクハラではないと言い張る上司の言い分
上司にその映像を見せると、少し動揺した様子を見せながらも「体に触ったわけでも、性的な発言をしたわけでもない」と開き直ったんです。
しかし、少し勇気が必要でしたが私も会社の窓口に相談しました。すると、上司から謝罪を受け、上司は男性だけの部署へと異動となりました。
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セクシャルハラスメントは、体に触れることがなくても性的な言動により就業環境が害されることで認められます。セクシャルハラスメントだと感じたときは、まず最初に職場の窓口や担当者に相談しましょう。
それでも解決が見込まれない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部や労働基準監督署の総合労働相談コーナーへ相談することも可能です。
セクシャルハラスメントは精神的にも大きなダメージを受けます。心身ともに疲弊してしまうことも多いため、自分の身を守るためにも、また他の労働者を守るためにも相談して解決することが大切です。