「早く行きたい」「何度でも行きたい」。そんなデイサービスが今月、大阪府八尾市に誕生した。関西初の美容に特化した半日型デイサービス。モットーは「キレイになって帰る」だ。
これまでも理美容師が自宅や施設を訪れ施術する訪問美容や、レクリエーションの一環で化粧やネイルを楽しむ体験はあったが、ここでは65歳以上の女性を対象に3時間の滞在中、1時間をたっぷり美容にあてる。代表の佐藤岳登さんに聞いた。
美容型デイサービスって、何をするの?
美容室のような外観の『Bee:(ビー)』は1階がデイサービス、2階がこれまた八尾市で初の民間が運営するコワーキングスペースだ。
半日型のデイサービスで午前と午後3時間ずつ、それぞれ10名まで受け入れる。利用は65歳以上の介護認定を受けている女性が中心で、看護士や理学療法士、そして美容師がつく。
デイサービスでは通常、運動や利用者同士の交流が中心だが、ここではその他に1時間ほど、鏡の前に座ってゆっくりお化粧やネイルアートを楽しめる美容タイムをしっかり取るのだ。ブローやハンドマッサージもやってもらい、心も体もリフレッシュ。有料のヘッドスパも使える。「あなたのネイル、きれいね」「あら、やってもらえば?」と、利用者同士で交わされる会話も若々しい。
もちろん美容だけでなく、リハビリコーナーでは講師がついてストレッチ指導。手すりを使った立ち上がり訓練で足腰を強化したり、柱を利用して腕を上げたり。看護士の岡本潤さんは、「大きな鏡で、自分の姿を確認しながら行います。あ、もっと頑張らなきゃと思っていただけたら、しめたものです」。帰宅後も衣類の着脱といった日常動作への意欲、また離れて住むご家族と連絡を取るなど、デイサービスをきっかけに心と体、生活全体の質の向上を目指す。
女性はずっときれいで、若々しくありたい
佐藤さんは、「Bee:」以外にも通常のデイサービス2カ所を運営する。そこである年配の女性がお手洗いにこもって鏡に向かい、熱心にお化粧していたことがあり、そこでつくづく美容型デイサービスの必要性を感じたという。「女性はいつまでもきれいで、若々しくありたいと思うものだし、たとえ認知症になってもその気持ちは変わりません」。
妹2人の兄という女性の多い家庭で育った佐藤さん。若い頃に鍼灸接骨院で働いた頃から、女性がマーケットに及ぼす影響を実感し、女性が喜ぶ「美容」に注目していたそうだ。
そして今回の施設開設では、美容室やエステサロンと同じ感覚で行けるデイサービスを目指した。
「やはり、通常のデイサービスに抵抗がある方もいます。そんな人も通える所を作りたかった」。
ところで2階のコワーキングと、1階のデイサービスの入口は同じ。介護職へのキツイ、キタナイ、給与が安いといった3Kのイメージを無くしたいと願う佐藤さんは「出入りする学生や地域の方、八尾で働く方の、介護のイメージを変えるきっかけになれば」と話す。
現在運営するデイサービスは、すでにそれぞれカフェと学習塾を併設。将来は美容型デイサービスと一般の美容室との併設や、保育所と併設させて子どもを預けた女性が介護で働けるなど、女性が活躍できる動線を作っていきたいと語る。