大阪府に住む嶋田さんは、知り合いに頼まれて急遽子猫を引き取った。嶋田さんは、サリーちゃん、アリスちゃんという保護猫を飼っていたので、3匹目の家族、ゼロちゃんが増えた。しかし、ゼロちゃんは、またたく間に息を引き取ってしまった。
急に子猫を引き取ることに
2017年10月初旬の日曜日。大阪府に住む嶋田さんのところに、以前、サリーちゃんという猫を譲り受けたヘルパーステーションの社長から電話があった。
「あるクリニックの駐車場で子猫がずっと鳴いていたので、そこの医師が子猫を保護した。ヘルパーステーションで子猫を預かっているが、ステーションで飼っている猫たちが怒っているので、保護してもらえないか」という連絡だった。
その日は日曜日で仕事が休みだったので、嶋田さんは、すぐにヘルパーステーションに走って子猫を引き受けた。
「急なことだったのでバイクで迎えに行ったので、帰りもバイクでした。道中、とても不安なか細い声で子猫が鳴いていたことを覚えています」
自宅に連れて帰り、その日は、折りたたみのソフトケージに入れた。保護したばかりということもあり、子猫はあまりごはんを食べなかった。名前はゼロちゃんにした。
懸命の治療のかいなく
月曜日、大人しかったので、試しにソフトケージから出してみたところ、パソコンの裏に立てこもって籠城。半日ほど様子を見ていたが出てこず、心配になってなんとか出てもらおうと、嶋田さんはあれこれ工夫した。
「やっと出てきたと思ったら、高さ1メートル弱くらいの階段から下に落ちてしまったんです。夜になって不安そうな声で鳴いていましたが、私は、『まだ家に慣れていないから不安なんだ』くらいにしか思いませんでした」
火曜日の朝、様子がおかしいのに気づき、すぐに動物病院に走った。そこはスペイクリニック(不妊手術のための動物病院)だったので、別の動物病院を紹介してもらい、診察してもらうと、かなり腎臓が悪くなっていた。すぐに入院することになり、1日治療をしてもらったが、「今晩もつかどうか」と言われたそうだ。
「あまりに突然のことで、死んでしまうかもしれないと思うと、私はとても混乱しました。その日はずっと夜通し見守り添い寝をしました」
水曜日の朝、それまで出なかったおしっこが出た。動物病院の先生も心配して朝一番に電話をくれた。もう一度治療をしてもらうために朝から動物病院へ。その日1日入院して治療をしてもらったが、その甲斐はなかった。
家族に看取られて
けいれん発作が出た時のために薬を処方してもらい、嶋田さんはゼロちゃんを連れて帰った。息子と夫にはすぐに連絡して帰ってきてもらっていた。夫は「何やってんの?今から幸せにならなあかんのに」とゼロちゃんに声をかけた。三人で見守り、嶋田さんがごはんの支度をするために立ち上がった時、二人が「あっ!目が開いた」と言い、その瞬間大きな息をしてゼロちゃんは息を引き取った。
木曜日、小さな、小さなゼロちゃんを車に乗せて、嶋田さんは自宅近くの花屋に立ち寄り、オープン前のお店を無理矢理開けてもらい、事情を説明して花束を作ってもらった。
「たった4日間しかいなかったけれど、ゼロは我が家の3匹目、大切な家族です。たった4日間だからほとんど写真もないけれど、お骨もまだ我が家にあり、だんだん増えてくる猫たちを見守ってくれています」
ゼロちゃんの腎臓が悪くなったのは、階段から落ちたことが原因かどうか分からない。もともと悪かったのかもしれない。しかし、嶋田さんは、家の階段は隙間が空いていて、猫がいつ落ちるか分からないので、不格好だがカラスよけのネットをつけたという。特に子猫がいる時は神経を使っている。
「猫は身軽で、高いところでも平気と思っている人は多いかもしれません。でも、腎臓が弱い動物なので、打ちどころが悪ければ命に関わるんです」
これから猫を飼おうと思う人や子猫を飼っている人には、気を付けてもらいたいと嶋田さんは言う。