これは、ちょっとしたファストフードの“革命”かもしれない。本格イタリアンが何と最短2分で出来上がり、しかも1コインという低価格。東京・渋谷や目黒を中心にビストロ・イタリアンを展開する株式会社「Root」（猿田伸幸代表取締役）が世田谷にオープンさせた「FAST ITARIAN COZAR(ファストイタリアンコザル)」が注目を集めているという。早速、のぞいてみた。
2分と言うと、立ち食いソバ並の速さではないか？それで“本格”イタリアンとは？これは確かめねばなるまいと、電車に揺られ東急「尾山台」という世田谷区にある駅へ。改札を出て左手の小道を線路沿いに歩くと1分くらいでお目当ての店舗に着く。途中、見たことのない光景が現れるが、それが目印だ。
「FAST ITARIAN COZAR」は、おしゃれなテラス席と、その上に張られた黄色の天幕が目を引く。手前のプランターにはオリーブが植えられており、実までなっている。これだけでもう絶対、女子にウケそうだ。今回はインスタ女子が助手として同行しているので、その様子もお伝えしよう。
いざ店に入ると、シンプルかつモダンで、とても明るい。清潔感溢れる店だ。中はロングテーブルに丸椅子があるだけのシンプルさで、一般的なイタリアンレストランというよりはカフェっぽさを感じる。助手は、すでに撮影中。自分のインスタに上げるのだろう。
まず、入り口のカウンターで注文。メニューを見ると、パスタとラザニアがメインのようで、それぞれ数種類あり、サイドメニューやデザート、ドリンクなどもある。この日は同社の猿田伸幸CEOが対応してくれた。
「どれにしますか？」
猿田さんに聞かれるも、どれも美味しそうで迷う。私の悪い癖だ。そもそも最短2分で完成というスピード感を検証しに来たのに気付けば注文で5分近く悩んでいるではないか。本末転倒である。ようやく下した決断は、おしゃれな名前ばかりの中で異彩を放っていた「旨すぎワロタ！究極の鯖一夜干しのプッタネスカ」。助手は「茄子とマトン肉のオリエンタルラザニア」を発注した。楽しみである。
注文すると素早く調理を開始。店内で作られた料理を瞬間冷凍させており、オーダーを受けてから加熱する流れだ。まず真空パックになっているラザニアをレンジで温め、それをオーブンで表面に焦げめをつけ、あっという間に完成だ。
パスタは特殊加工の麺を軽く茹で、パウチに入ったソースを温める。それらをすぐに混ぜて整えて、ハイできあがり。カウンター奥が厨房なので作業工程はすべて見える。今回は2品を同じタイミングで出してくれたため、提供までの時間は5分程だったが、それでも速い。パスタだけなら実際に2～3分も可能だろう。
速さは偽りなしだ。しかし、肝心なのは味。自ら本格イタリアンとハードルを上げてくるあたり自信が伺える。まずは鯖の一夜干しパスタからいただく。トマトソースの酸味と唐辛子、そしてオリーブの風味が鼻を抜け、一夜干した鯖は豊かな香りとかむほどに味わいが広がり、思わず膝を打ちそうになった。
気になるのは超短時間茹でのパスタであるが、これが驚きである。食感は非常にモチモチしているのだが、歯ごたえの残るアルデンテ。実に不思議である。なぜか。猿田氏に聞いてみたが、これは企業秘密だそうだ。
撮影に忙しい助手を横目に、次はラザニアに手を伸ばす。まず見ただけでボリューム感が凄い。あんな短時間で中まで温まっているのか心配になったが、何のことはない。中までアツアツだ。切り開くと、茄子とピーマン、そしてマトンの挽き肉がミルフィーユのように重なっている。口に入れるととてもスパイシーだ。これは美味い。
それもそのはずである。この「COZAR」を運営する株式会社ルートは都内のおしゃれ地域で「SARU」ブランドの本格イタリアンレストラン5店舗を展開。「猿」から「小猿」になっても味は確かだ。
一番スタンダードなパスタ、キャベツとアンチョビのペペロンチーノ（450円）だと1コイン(500円)でお釣りが来るという価格設定も嬉しい。11月9日から職場や自宅でも手軽に本格イタリアンが味わえるテイクアウトを実施。店側は「店舗拡大を目指していきたい」と意気込んでいた。
その間、わが助手はというと終始、写真と食べるのに夢中のご様子。つまり、これは美味しい上に映えるという事だ。早い、安い、うまい、おしゃれ、その上映える、と5拍子そろう「COZAR」はインスタ女子には特にオススメ。こんなイタリアン、今までなかった。
◇「FAST ITARIAN COZAR」東京都世田谷区尾山台3-34-2 シエルデブルージュ尾山台1階 営業時間は11時から21時
