声を聞くことができた!散歩もできた! 声帯を切られていた元繁殖犬のポメラニアン

渡辺 陽 渡辺 陽

ポメラニアンのこむぎちゃん(元サランちゃん)は元繁殖犬。鳴けないように声帯を切られていた。出産経験は2、3回ほどあるようだった。和歌山県に住む坂尻さんは、ペットショップで買うのではなく保護犬を譲渡してもらおうと思い、こむぎちゃんに出会った。

 

飼うなら保護犬にしよう

坂尻さんは、初めて犬を飼おうと思って友人や知人からいろいろ情報を集めていた。どの人も「ペットショップからは買わないほうがいい」と言った。坂尻さんは、当初、飼うなら子犬から飼いたいと思っていたが、保護犬を譲渡してもらうことにしたという。

友人から和歌山の保護団体ワンライフを紹介してもらい、毎日のようにサイトで里親を募集している犬を見ていたが、次女がポメラニアンがいいと言ったので、出てくるのを待っていた。

声帯を切られていた元繁殖犬

ある日、サランちゃんという名前の真っ白なポメラニアンが掲載された。サランちゃんの説明を読むと、「元繁殖犬で、声帯を切られている」と書かれていた。坂尻さんはすぐにワンライフに電話して、サランちゃんに会いにいく約束をした。

「声帯を切られていては声が出ない。寂しいなと家族で話していたのですが、まあ、静かでいいかとポジティブに考えることにしました」

坂尻さん一家がサランちゃんに会いに行くと、掲載されていた写真とは似ても似つかないような犬がいた。毛はバリカンで刈り取られていて、人が近寄ろうとするだけで怯えてケージの隅で固まっていた。

それでも坂尻さんは、サランちゃんを迎えることにした。コロナ自粛期間中に迎えたかったが、子供たちの学校が始まる1日前、2020年5月31日にサランちゃんが来ることになった。

声が出た!

ワンライフのボランティアが、不妊手術を終えたサランちゃんを連れてきてくれた。手術の傷跡が痛々しく、坂尻さんはなんとも言えない気持ちになった。ボランティアは、「いままでにおそらく2、3回出産していると思う」と言った。子供たちは、サランちゃんが産んだ子に会いたいなと言った。

真っ白な犬だったので、名前は「こむぎ」ちゃんにした。

こむぎちゃんは、だんだん家族になれたが、とにかく男性を見ると怯える。坂尻さんの夫が近寄ると固まり、義父が来るとうなる。他人でも男性を見ると、飛ぶように逃げるという。

こむぎちゃんの声を聞くことはないとあきらめていたが、ある日、こむぎちゃんが高い声で鳴いた。

「声を聞けた時、私も子供達も嬉しくて…あまり鳴くことはないのですが、インターホンが鳴るとワン!と吠えることもあるんです」

散歩をしたことがなかったこむぎちゃん。抱っこして外に連れ出し、だんだん慣らしていった。いまでは、たくさんの友達もできたという。

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