大阪の京橋に、2019年の第9回エステティックグランプリ初代「結果出し部門」で準グランプリを獲得した実力派美容サロンがある。「リンパ専門店 サロン・ド・ポム」（大阪市都島区）だ。
顧客をいかに理想のプロポーションに近づけるかを競う部門で準グランプリとは大変魅力！でも厳しい指導が行われるのでは？しかし、こちらは今も150人ほどの顧客が月に一度「体を整えに」足繁く通うサロン。
そもそも、なぜリンパなのか？たしかにリンパを流すことで疲労回復やリラクゼーション、万病にも効果があるといわれるが、そこまで「結果が出る」ものだろうか？代表の藤原智子さんと、リンパ浮腫専門看護師の標（しめぎ）裕美さんに伺った。
理想の体を作る第一歩は、リンパを流す！
あらためてリンパとは何だろう。体の中を網目のように広がる血管と並行してあるのが、リンパ液が流れるリンパ管だ。酸素を運ぶ動脈の毛細血管の辺りからは、血漿（けっしょう）と呼ばれる成分が浸み出し、それが細胞に栄養分を運び、老廃物を受け取る。その後、９割程度が血管内へ、残りはリンパ管へ吸収される。
ところが何らかの理由でどちらにも戻れなかった場合、やがて死んだ細胞や不要な物質と合体、成長して、たとえば肩こりなどの「こり」となって現れる。それが老廃物の塊だ。
そんな老廃物は流し去るしかない。「そこで私たちの手や専用の機械を使い、再び血管とリンパ管に再吸収させるのです」と力強く語る標さん。ほとんどの現代人は老廃物を抱えているというが、「特に減量したい人は、まず流す。なぜなら、老廃物を滞らせた体は痩せにくいんです。併せて食事に気をつけ運動すれば、美しく痩せられます」。
体の習慣を変えたら、痩せ体質に変わる
「滞る習慣から流す習慣へ、体を変えます。時間はかかりますが、太りにくくリバウンドしにくい体に変わります」という標さん。
サロン・ド・ポムではリンパを流すだけでなく、食事面からも理想の体作りを手伝う。顧客とのカウンセリングを重ねて、その人の食習慣や体質に合ったライフスタイルをアドバイス。大切なのは、理由まで伝えることだ。「自分の体質や年齢に合った痩せ方について、自身で考える力を身につけて欲しいからです。自己流の糖質制限や、○○だけ食べて痩せるなどといった情報だけ振り回されないように」。
たとえば緑茶に含まれるカテキンは、健康に良いとされるが利尿作用もあり、体に必要なきれいな水まで排出するので、ダイエット中の人には不向き。代わりにカフェインゼロのはと麦茶や、ミネラル豊富なルイボスティを勧める。「ミネラルには、老廃物を排出する働きがあるので。食材の特質とその人の目的を考え合わせて、その人だけのアドバイスを行います」。
自分で、自分の体がわかるように
藤原代表は、月１〜2回通うサロンはあくまでメンテナンスの場で、最終的なゴールは自身でメンテナンスを行うホームケアの習得と習慣化と語る。新型コロナによる緊急事態宣言前後はサロンを閉め、顧客とはLINEでやり取り。体調の悩みなどさまざまな相談に対応していた。現在もzoomを使ったホームケア指導を行っている。
サロン・ド・ポムでは中医学（中国の伝統医学）も取り入れる。中医学では、現代医学でいわれる「症状」が全て治療対象。日本の国民病ともいわれる肩こりも治癒対象だ。標さんは「病院に来る患者さまは、ほとんどが“こうなるまで気づかなかった”とおっしゃいますが、体は必ずサインを出しています。サインに気づくためにも、大事なのは体のメンテナンス。それが、いつまでも健康を保つ秘訣です」。
まるで伴走者のようにしっかり寄り添う姿勢に、「結果出し部門」準グランプリの理由がわかった気がした。現在はリンパ浮腫専門看護師の奥深い知識を活かし、セラピスト育成講習も提供している。
■サロン・ド・ポム https://salon-de-pomme.com/
