「犬が太りすぎて動けない。かわいそうだけど、安楽死させたい」
そう言って、カナダ在住のある飼い主は10歳オスのゴールデン・レトリーバーを動物病院に連れてきました。犬の名前はカイ。オスのゴールデン・レトリバーの平均体重は29~34キロですが、2018年3月に、前の飼い主に連れられて獣医を訪れたカイの体重は何と、その2倍以上の79キロでした。
肥満以外は極めて健康で、安楽死させる理由などなかったため、動物病院のスタッフが地元アルバータ州のアニマルレスキューに連絡をしたところ、保護犬(保護猫)を一時預かる「フォスター」として登録していた現在の飼い主のパムさんと出会いました。
9カ月間、カイと一緒に生活をしてみて、保護することに決めたパムさんにお話を伺いました。
—初めてカイを見た時の感想は?
あんなに肥満な動物を見たのは人生で初めて。カイの大きさには本当に驚きました。でも、あれだけ太っていても、とても幸せそうで優しい目をしていました。
—保護しようと決めた理由は?
体重減量に対するカイの決意にインスピレーションを受けました。どんなに大変でも運動やダイエットに励み、毎日一緒に過ごしていたら手放したくない存在になっていました。
—体重減量への道のりは?どのようなダイエットや運動をさせましたか?
たった1年で48キロの減量に成功しました。現在の体重は31~32キロ。健康的な平均体重です。ここまで痩せさせるのはとても大変でした。肥満で動けず、立ち上がったり歩くのにもひと苦労。体の重さに足が耐えきれず、元気もありませんでした。
それでも毎日のお散歩は欠かさず行い、獣医師に勧められた体重管理用のドッグフードを与え、水治療法を始めました。週に一度、6週間の水治療法を終えると、ペット階段を使って自分で車にのぼれるようになりました。いまでは自由に走ったり、ジャンプもできますよ。
◇ ◇
すっかりシェイプアップに成功したカイをドッグパークに連れて行くと、ほかの犬ではなく、飼い主に興味を持たれたそうです。それを見たパムさんは、カイをセラピードックとして登録することにしました。様々なテストに合格し、パンデミックが落ち着いたら国際空港のセラピードックとして活躍するようです。
一歩ずつ前に進み、減量に成功したカイの姿を見ると、どんなに大きな目標でも少しずつ努力すれば達成できるということなんでしょうね。