広告を見るだけでマスクが無料で自宅に届く!…苦しい家計に救世主のようなサービス 運営会社に聞いた

川上 隆宏 川上 隆宏

広告を見るだけで、マスクが無料で自宅に届く…そんな驚きのサービスが6月から始まり、話題になっています。新型コロナとともに、日常生活の必須アイテムとなったマスクですが、品薄や価格高騰にさんざん振り回され、買い続けるのは家計的にも負担感が大きいですよね。まさに救世主のように感じられるサービスですが、斬新すぎて不思議なことも多くて…運営会社に聞いてみました。

「株式会社シクミーズ」が始めた「ソーシャルマスク」というサービスです。同社は「お料理ファシリテーション」という、料理教室を活用した企業向けの研修サービスを展開していましたが、コロナの感染拡大とともに売り上げは減少。企業活動を自粛をしている最中に、今回のサービスを思いついたといいます。

具体的には、会員登録後、60秒以内の動画広告を視聴完了すると、2枚つづりのマスクが手に入るというもの。マスクの仕入れ・自宅への配送費用などはスポンサーの広告費用によって捻出されるといいます。動画の視聴・マスクの配布は5日に1回とされていますが、細かい個人プロフィール情報を入力すると「ハイグレード会員」として3日に1回利用することが可能になるそうです。

   ◇   ◇

同社代表取締役の水野永吉さんにお話を聞きました。

―配布されるのはどんなマスクなのでしょうか。

「不織布を使った使い捨てマスクです。中国の工場で生産されたものですが、規格にはこだわっており、まず初回の6000枚(3000名)分のマスクに関しては、飛沫をカットする効果が高いメルトブロウン不織布を用いて、BFE95%(※)の性能のものを用意しました。CEレポートも取得済みです。 弊社の検品事業部が検品をしたうえ、2枚つづりにして送ります」
※BFE:バクテリアろ過効率・3マイクロメートルの細菌を含む粒子をどれくらいカットできるかを示したもの

―マスクをもらうために視聴する広告動画はどのような内容でしょうか。現時点では取り組みに賛同した個人の方の動画が多いように思いますが…。

「予想としてはメッセージ性が高いものが主体になるとは思います。ただ、広告枠をどう活用するからは、ある程度スポンサーの自由度を尊重していますので、今後は通常の製品やサービス紹介動画が増えていくと考えています。最近は採用関係の広告を出したいとの話がありました」

―ちなみに、現時点までにどれくらいの方が登録して、どの程度マスクは配布されましたか。

「6月1日にサービスリリースされましたが、現在までに1000人以上の登録者がいます。また、9日朝までにマスクを配布した人数は520名(1040枚)です」

―サービスを利用されている方からは、どんな声が寄せられていますか。

「『頑張ってください』といった声をたくさんいただいています。全体的にはマスクを購入しに出かける手間が省け、マスクを切らしてしまう心配がなくなるのでありがたい、という内容が多いです。特に地方の方からは『簡単に近くのお店ですぐ購入することができないのでポストに届いてるのはうれしい』といった反応をいただいています」

「なお、会員の50%以上が年齢50歳以上の方でした。メディアを通じて高齢者の方ほどコロナ感染の危険性が高いと報じられ、より意識的に外出を自粛されていたと思います。そのような状況の中で、ご年配の方が外出してマスクを購入することの大変さも関係しているかもしれません」

―しかし、本当に広告を見るだけで無料でマスクをもらえるなんて…。お金的には大丈夫なのでしょうか。

「広告主の引き合いは現在20社程度あります。マスクの配送は高額ではありますが、企業努力で配送費用を抑えたり、仕入れコストを抑えることで、事業が継続可能なコスト構造を実現しています」

―マスクの供給も最近は増えてきましたが、一時は品薄でした。不安定で心配ではありませんか。

「これから冬にかけて、またマスク不足が起きることが予測されますので、専用の代理店を通じて工場とのパイプラインを強化することで備えています。また、多くの人に均等に配給する仕組みを弊社が構築することで、買い占めなどの問題を解消してマスク不足の抜本的解決方法になるとも考えています」

―あらためて大変めずらしいサービスのように感じています。

「おそらく日本では弊社以外では行っていないと思います。海外でもマスクの重要性が叫ばれるようになり、必要としている人は世界中にいます。 まずは日本でスタートしましたが、世界中で展開できるようにしていきたいです」

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■ソーシャルマスク https://socialmask2020.com/

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