猫パンチを繰り出し威嚇していた2匹の保護猫 あえて里親になった理由とは

渡辺 陽 渡辺 陽

しずおくんとがろちゃんは、それぞれ別の場所で保護されたが、同じ預かりボランティアのところで育った。譲渡会に行くとうなって他の猫を威嚇するので、「怖い」と恐れられ、なかなか里親が決まらなかった。ところが、傍若無人な2匹を見初めた男性がいた。

誰かに捨てられた子猫と警察に保護された子猫

2016年7月、福岡県の住宅地、しずおくんはダンボールに入れられ、兄弟と一緒に捨てられていた。箱の中には6匹の生まれたばかりの子猫がいた。民家の横に捨てられていたので、その家の人が発見、福岡市動物愛護センターに収容されたが、目も開いていなかったので、猫の保護団体「ねこのしっぽ」に連絡が入り保護された。

同じ頃、子猫のがろちゃんは福岡市内を歩いていたところ警察に保護され、福岡市動物愛護管理センターに行った。生後1カ月くらいだった。センターでは、キャットフードを食べられない子猫は生き抜くことが難しい。がろちゃんは小さくて、まだミルクしか飲めないように見えたが、キャットフードを食べられたので生き抜くことができ、保護団体ねこのしっぽが引き出した。

月齢の近い2匹は預かりボランティアさん宅で、たくさん食べ、たくさん遊び、元気いっぱいに育った。まるで本当の兄弟のようだった。

野性味あふれる2匹の猫

山口県に住む村上さんは、猫を飼おうと思って譲渡サイトを検索した。3年前まで犬を飼っていたが、犬に対する愛着が強くて新しい犬を迎える気になれず、今度は猫を飼おうと思ったそうだ。

2016年10月、福岡県の猫カフェにいる可愛い子猫をみつけた。ドライブがてら見に行こうということになり、猫カフェに行ったという。

「偶然なんですが、しずおとがろの保護主さんが、譲渡相談会に出す前に他の猫と場所になれさせようと2匹を連れてきていたんです」

2匹はとても仲良しだったが、他の猫がいると怖くて先にうなって威嚇をしたり、怒って猫パンチしたりした。しまいには、しずおくんとがろちゃんがケンカをしてしまうありさまで、なかなか里親が決まらなかったのだ。

案の定、猫カフェでも他の猫を威嚇した。猫カフェにいる猫は大人しいのだが、2匹は猫パンチを繰り出しては逃げていた。

やんちゃ代表の2匹だったが

パンチをしては俊敏に動き回るしずおくんとがろくん。やんちゃっぷりを発揮していたが、村上さんのご主人は「絶対にこの子たちがいい」と言った。

「ネットで見た子猫は可愛かったけど、きっと他の人がもらってくれると思いました。しずおとがろは他のお客さんも怖いと言っていて、元気なのはいいけれど里親を探すのは難しい気がしました」

2カ月後、2016年12月、しずおくんとがろちゃんは不妊手術を終え、村上さん宅にやってきた。
「どうなることかと思いましたが、他の猫がいなければ、まるで借りて来た猫のように大人しくしていました」

しずおくんは、2週間くらいドアや窓のところで鳴いていた。がろちゃんは最初から平気で、のびのび暮らしていたという。

「小さい頃、飼っていたひよこが野良猫に食べられてしまったので猫は苦手だったのですが、飼ってみるとすごく可愛い。甘えてくるし、帰宅すると玄関まで迎えに来てくれるんです」

自分の子供より猫が可愛いという村上さん。いろんな人に「猫を飼わないか」と勧めているそうだ。

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