その愛らしすぎる見た目から「砂漠の天使」とも呼ばれる世界最小級の野生ネコ「スナネコ」の赤ちゃんが那須どうぶつ王国（栃木県）で誕生した。スナネコの誕生は、日本動物園水族館加盟園館の中では国内初！赤ちゃんの動画や画像を公開している同園の公式SNSには「かわいすぎて叫びたい」「まさに天使」「天使が天使を産んでくれた！」など歓喜のコメントが殺到している。
赤ちゃんは女の子で、4月27日に誕生。両親は2019年10月に同園に仲間入りしたシャリフ（オス）とジャミール（メス）だ。出生直後は体長約13㎝（尻尾含まず）、体重約５９ｇ。やや衰弱状態で生まれたことに加え、初産だったジャミールが赤ちゃんの体を上手に温められず、衰弱が進んだことから人工飼育に切り替えた。飼育員の荒川友紀さんは「国内初の繁殖で、素直にすごくうれしかった。一方で、強い責任感も感じて気が引き締まりました」と振り返る。そこから、３人の飼育員が交代で２時間おきにミルクを与え、マッサージや排せつなどを献身的にサポート。ミルクもたくさん飲めるようになり、５月末時点ではミルクの間隔も５時間おきに。離乳食も開始し、体長約20㎝、体重約350ｇにまで成長した。
「目が見え、音が聞こえるようになって、力もしっかりついてきました。てくてく走ってきたり、軽いジャンプなんかもできるようになって、遊ぶのが大好きなやんちゃ娘に育っている感じです。ミルクを飲んだ後もよく飼育員の手にじゃれついてきますし、保育器に敷いてあるタオルにかじりついて一人遊びなんかもしています」。
とはいえ、性格については「これから」と荒川さん。「父親のシャリフはエサも場所も相手に譲ってあげるような器の大きい男の子、一方で母親のジャミールは自由気ままな食いしん坊です。赤ちゃんがどちらに似るのか、はたまたまったく違う性格になるのか、そこも楽しみにしています」。
公開予定日はまだ決まっていないが、赤ちゃんの体調や成長具合を見ながら、6月下旬から7月の公開を目標にしているという。
赤ちゃんの名前は公募の予定
スナネコはアフリカなどの岩砂漠に生息していて、成猫でも体長39～57㎝（＋尻尾が約20㎝）、体重2～3kgという世界最小級の野生ネコだ。熱い砂漠の砂から足裏を守るために、肉球を覆うように毛が生えているのが特徴。体毛は砂漠に溶け込むような薄茶色で平均寿命は10～12年とされている。
那須どうぶつ王国では、今年3月からシャリフとジャミールを一般公開。国内の動物園でスナネコを飼育するのは、同園と姉妹園「神戸どうぶつ王国」だけだという。「ムスタ（オス）」「バリー（メス）」という2頭のスナネコを3月に同時公開した神戸どうぶつ王国のスナネコ飼育担当・馬場瑞季さんは、姉妹園での赤ちゃんの誕生について「同じグループ園のことなので大変うれしい！私たちも繁殖に成功するようがんばりたい」とコメント。西の神戸の地でも、新たな天使が生まれることを期待したい。
気になる赤ちゃんの名前は、公募の予定だそう。公募方法や時期についてはまだ未定だが、公開されてからの募集となる予定だ。
赤ちゃんの両親の名はそれぞれ、アラビア語が由来。シャリフは「気高い」、ジャミールは「美しい」という意味が込められている。「赤ちゃんの名前は、誕生への喜びが込められたものになればうれしい」と荒川さん。
同園は5月23日から営業を再開。３密を避けられない施設の休館、職員のマスク着用、レジ前のアクリルパネル設置等、様々な感染拡大予防対策を実施しながら営業している。
荒川さんは「暗いニュースが続く中、スナネコの赤ちゃん誕生という明るいニュースは私たちにってもうれしいこと。職員一同、そのかわいさに心を打ちぬかれてメロメロになっています（笑）。コロナが終息したら、ぜひ赤ちゃんを見に来てほしい」とコメント。また、SNSなどを通じて「飼いたい」といったコメントが多数届くことに対し、「那須どうぶつ王国が取り組んでいる野生動物の保全についても知っていただき、一緒に考えてもらえたらうれしいです」としている。
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