「使い捨て防護ガウン」愛知のテント業界14社が結集して生産 目標は「2カ月で10万枚」

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先月、大阪市の松井一郎市長が「雨がっぱ送って」と大阪府民・市民に提供を呼びかけたことが大きく取り上げられたが、新型コロナウイルス感染症の治療にあたる医療機関で医療物資が継続的に不足している。特に「防護服」「ゴーグル」「シールド付きマスク」「アイソレーションガウン」「手指消毒剤」などの備蓄が乏しい。

そんななか、愛知県ではある業界が一肌脱いだ。立ち上がったのは「愛知県テント・シート工業組合」だ。本業である精密機械の保護カバーや産業用間仕切りシート施工の実績を活かし「使い捨て防護ガウン」を開発した。株式会社丸八テント商会(本社・名古屋市)をはじめとする14社が、物資不足にあえぐ医療現場を救うため、学生ボランティアとともに防護ガウンの生産を5月1日より開始している。

生地の調達から生産、納入に至るまで、すべての工程を愛知県内の企業や学生で行っており、医療現場の支援に加えて同県の振興も目的としている。場所は愛知県が貸し出す旧・愛知県スポーツ会館を利用し、日産6000枚、6月中旬までに10万枚を目標に生産している。

丸八テント商会のインターン生でもあり、今回の防護ガウン製作ボランティア・リーダーを務める愛知県の大学生・森田結人さん(19)に話を聞いた。

―テント・シート組合が防護ガウン製作を始めたきっかけは?

「もともと愛知県テント・シート工業組合は、愛知県、名古屋市、商工組合中央金庫と危機管理協定を結んでおり、今回の新型コロナウイルスでの危機的事態を解決するためにも、官民一体となって、当組合のリソースやノウハウで貢献していきたいと思ったからです」

―愛知県へのプレゼンから作業開始までの期間は?

「2週間です。(愛知県テント・シート工業組合が)県にプレゼンをしたのが4月14日。それから生地の設計、作業場の選定、人集めなどを始めて、5月1日から旧・愛知県スポーツ会館で、有償学生ボランティアと成人ボランティアのべ100人程度で生産を開始しました。春日井にある生地工場さんもGWは休みなしで作ってくださいました」

―学生を有償ボランティアにした理由は?

「新型コロナウイルスの影響により収入源を失い、金銭的に困っている大学生の問題がありますので、その問題を解決するためにも、有償で生産に携わってもらっています」

―苦労された部分は?

「人集めですね。やはりこの短期間の中で声がけをして、人手を確保するのが大変でした。コロナの影響で外出を拒まれる人もいましたから。この作業場でも感染予防対策は徹底しています」

―製作後のガウンはどこに納品されますか?

「まずは愛知県内の病院に配布されるとのことです」

―ガウンの特徴は?

「とにかく手軽さです。一患者につき一枚のペースを、使い捨てで治療にあたりますので、素早く脱ぎ着できることです。前後ろの違いがなく、上からすっぽり被り、前後のスリットから簡単に千切って脱げます。肩下150センチという、平均的なガウンよりも長めなのと、親指を通す穴があることで、より清潔な状態を保つことができます」

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