新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスクの品薄は解消される兆しもないまま、ゴールデンウィークに突入した。ネットでの高額転売が禁じられて以降、ドラッグストア以外の業種の店で卸売業者から直接仕入れたというマスクが販売されているが、こちらも高額。国からの布マスクは心もとないし…。ということで、手作りマスクがクローズアップされている昨今、女優の川上麻衣子さんが理事長を務める一般社団法人「ねこと今日 n e ko-to-kyo」が、猫をデザインしたオリジナルマスクを製作、販売している。
「Мaj(マイのスウェーデン語表記)マスク」の商品名とイラストが記されたリーフレットには「Stay Home!家には猫がいる」と記され、黒地の布マスクには川上さんがデザインした猫の顔、左前足を上げてアルファベットの穴部分を潜り抜けようとする猫の姿が描かれている。価格は1200円。横19センチ、縦14センチほどだが、実際に装着すると、鼻から顎までしっかりと覆われ、安定感があった。
川上さんは「中にガーゼも入っていて、しっかりフィットします。洗って大丈夫」と説明。「猫の街」で知られる東京・谷中で、生まれ故郷・スウェーデンの小物や自身のガラス作品などを販売する店「スウェーデン・グレイス」に置く予定だったが、同店は5月6日まで休業予定(状況次第で延長の可能性も)。そのためネットストア(swedengracestore.com)のみでの営業を始めたところ、マスクはすぐに完売し、驚いたという。
ちなみに、マスクに描かれたアルファベットは自身の店名「swedengrace」が隠されている。そして、川上が描いている猫の絵がモチーフだ。この絵だが、大阪・梅田の阪神百貨店で4月後半に予定されていた催事「猫フェスティバル」のコーナーで原画が展示されるはずだったが、新型コロナウイルスの感染拡大によって中止された。「2年くらい前から仕事の合間に描いている絵で24~25点あります。猫の写真を見ながら、水彩画みたいになるマジックで描いていて、楽しくて発見がある」。そんな作風がマスクでも楽しめる。
コロナは川上の活動にも大きく影響した。4月に続き、5月に梅田と博多の阪急百貨店で行われる予定だった北欧フェアでのswedengraceグッズ販売も中止に。また、専門家から猫との接し方などについて学ぶ「キャットアカデミー」を5月に谷中サロン「まいの間」で実施予定だったが、こちらは延期となった。収束のめどが立たない中、オンライン授業の可能性も模索している。このレンタルスペースとしても営業する「まいの間」でも恒例の猫譲渡会などキャンセルがやむを得ない状況だ。
在宅で2匹の愛猫と生活しながら今後を模索し、需要のあるオリジナルマスクなどのネット販売に力を入れている。川上さんは「マスクは手作りでお願いしているため、生産がすぐには追いつかない状態ですが、頼んで常に増産しています」と明かす。
今回のコロナ禍によって、これだけマスクという存在が必需品としてクローズアップされたことはなかっただろう。「コロナ後の世界」となっても、マスクを習慣的に着けていた記憶は多くの人々の意識にとどまり、日常的な衣料品の1つとして、さらにはオーダーメイドや独自のデザインが施されたファッションアイテムとしても流通していくのではないか。オリジナルの猫マスクを装着しながら、そんな近未来がふと浮かんだ。