猫のために…勤務先の病院を辞めた一人暮らしの女性 「感染したらお世話をする人がいなくなる」

佐藤 利幸 佐藤 利幸

新型コロナの感染拡大で、ある決断をした女性がいる。病院で勤務していた前川さん(仮名)は、各地の病院で発生している院内感染を恐れた。一人暮らしの前川さんは「万が一感染して入院にでもなったら、猫たちのお世話をする人がいなくなる」と務めていた病院を退職した。

緊急事態宣言の対象となっている埼玉県内に住む前川さん。「買い物や食事についても、ネットスーパーを利用したり、出前を取ったりしていますので、今の所そこまで不便には感じていないですね」。不要不急の外出はもちろん控えているが、自宅での特別な楽しみがある。猫との生活である。

「コロナ自体は憎いですけどね…。毎日私が家にいる事で、にゃんこたちとの距離は近付けたな、と実感しています。みんな(猫たち)もきっと喜んでくれている、と勝手に思い込んでいます」

明るい希望…名前は「ライト」と「ホープ」に

一人暮らしの前川さんが里親として猫を迎えたのは2018年12月にさかのぼる。地域で野良猫が子猫を産んだ。母猫は避妊手術を受け地域猫に。産まれた4匹は保護団体に保護され、里親を探していた。「癒しが欲しくて」と前川さんは生後6カ月のオスの茶トラ兄弟を引き取った。名前は幸せになれるようにと願いをこめて、「ライト(明るい)」と「ホープ(希望)」と名付けた。

もともとは犬派だった前川さんだが、すっかり猫の魅力にとりこになった。兄のライトは隠れ甘えん坊、前川さんが部屋を移動するたびに後をついてきて、けなげにもずっと扉の前で待っている。就寝時には布団のなかに潜り込む。

弟のホープはストレートに甘える“かまってちゃん猫”で、おもちゃの入っている箱まで誘導しては「ニャー」と鳴いて、「遊んで」とアピールをする。寝る時は体をトントンと優しくたたかなければ寝ない。「まるで人間の赤ちゃんです」。就寝場所は決まって前川さんの枕の横だという。この兄弟猫は大の仲良し。時にはプロレスごっこをして暴れるが、いつも一緒にいる。

にゃんこたちがいてくれて良かった

病院に勤務しているときは「1分でも早く会いたかったので、超特急で帰るようにしていました。残業がもの凄く多かったのですが、頑張れたのは全てこの子たちがいてくれたからです」と話す。マスク不足で予防対策が万全ではなかったという病院を辞める決断をした前川さん。「外出自粛になっていますが、全く苦ではありません。本当に、にゃんこたちがいてくれて良かったです。今まで長時間お留守番をさせていた分、みんなと過ごせる時間がゆっくり取れて幸せだな~とプラスに考えています」と、しばらくは猫たちとの「おうちライフ」を楽しむつもりだ。

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