「ブレイド」「ジョブ」「セメント」で熱狂!でも…プラントだらけだったらどうしよう!?<プロレス編>

おもしろ業界用語

平藤 清刀 平藤 清刀

鍛え抜かれた肉体が、リングの上でぶつかり合うプロレス。ファンを熱狂させる熱い世界に飛び交う用語を知れば、プロレス界の裏側を覗き見ることができるかもしれない。

試合中の流血にはジュースと生ジュースの2種類がありまして…

かつてプロレスの試合でときどき見られたのが、選手の額が割れて流血する場面。試合が白熱する場面を演出する「ブレイド」という秘密道具があるそうだ。ブレイドとは「Blade=刃物」のことを指す。ブレイドをどう使うかは推して知るべし。

「流血試合のことをジュースといいます。レフェリーがお膳立てを手伝うこともあります」(Gさん/元プロモーター)

プロレスにはあらかじめ試合の流れを決めた筋書きがあって、戦う前から勝敗が決まっているという。いかに観客に楽しんでもらうかという、あくまでエンターテインメントなのだ。それにしても流血まで、前もって段取りされた筋書きだったとは。

ところで、試合が白熱してきて、何らかのアクシデントで血が流れることもある。そのような予定されていない流血を「生ジュース」と呼ぶそうだ。

ただし、すべてのプロレス団体でこのように過激な演出が行われているわけではなく、とくに1980年代後半にAIDSが認知されるようになってからは、感染症予防のためジュースを禁止する団体が増えているとか。

主役を引き立てる「ジョブ」

「ジョブ」とは英語で仕事を意味する「Job」で、プロレス界では引き立て役のことを指す。いうなれば時代劇の「斬られ役」のこと。時代劇のチャンバラシーンは、斬られ役が上手く立ち回ってこそ面白くなる。プロレスも同様で、人気のある選手がいくら頑張っても、ジョブが下手だと試合が締まらない。

「主役を“芯”にたとえるなら、芯を中心にジョブが一体となって上手く回転してこそ、見ごたえのある試合になって、お客さんを楽しませることができるわけです」(Gさん)

つまりジョブは、本当にプロレスの上手い選手=仕事ができる選手じゃないと務まらないということだ。

逆に観客を楽しませることができない、つまらない試合を「しょっぱい」と表現する。

ちなみに、筋書きのない試合を「セメント」とか「ガチンコ」あるいは「シュート」と呼ぶが、本気で闘争心むき出しでぶつかり合うかというと、そうでもないらしい。「セメントでも、おおまかな筋書きは決めています。本当にガチでやり合ったらケガをしますから」(Gさん)

プロレスは毎日のように試合をやるから、ケガは禁物だという。筋書きがあるとはいえ、あれほど激しい試合を毎日のようにやって、本当にケガをしないのだろうか。

「試合に出られなくなるから、ケガをしてもいえないです」(Gさん)

試合に出られないと、選手の収入にも大きく影響する。だからたとえ本当にケガをしても「ケガしました」とはっきりいうことはないそうで、「山へ行った」という隠語を使うそうだ。それで表向きはケガをしていないことにして、試合に臨むのだという。まさに体が資本の世界だ。

イケメンの選手に黄色い声援を送るプラントとは

プラントは「まわし者」という意味を含むことから転じて、選手やスタッフの関係者やその友人、家族、親戚などが、あたかもファンのように振舞って客席から声援をおくることを指す。ひらたくいえば「さくら」のこと。

女性ファンがイケメンの選手に向かってキャーキャーいっていたり、女子プロレスの会場で声援を送ったりしている男性ファンは、ほぼプラントだといわれている。

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