新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言が出された北海道。相次ぐキャンセルで多くの旅館・ホテルが深刻な打撃を受ける中、大雪山のふもとにある層雲峡温泉の老舗ホテルが23日から、花粉症の人向けの「花粉割」を始めました。コロナショックで予約は激減し、ひと月の半分は営業できず休館を余儀なくされる事態にも「暗いニュースばかりじゃなく、明るい話題で元気づけたい」といい、「北海道はスギ花粉がほとんどありません。事態が収まってきたら是非、ゆっくりとくつろぎにお越しください」とPRしています。
北海道上川町の「層雲峡温泉ホテル大雪」。1965年開業の老舗で、客室数は西館東館合わせて188室。層雲峡温泉では一番高台に位置し、3つの大浴場と2つの露天風呂は全てかけ流しという人気旅館です。
上川町では例年1月末から3月半ばにかけ「層雲峡温泉氷瀑まつり」が開かれ、多くの観光客が訪れますが、今年は年明けから新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要が減少。弱含みの状況だったところに道内の感染者数の急増で2月28日に知事が緊急事態宣言を発令し、「一気に落ち込んだ」といいます。氷瀑まつりは中止され、同ホテルでも消毒やマスク着用などの対応を取りましたが、毎日のようにキャンセルの電話が。「仕方ないとはいえ、このひと月に至っては、休館が月の半分ぐらいに及んでいます。1日の予約が1桁程度で、とてもじゃないけれど営業できる状態ではなく…。ご予約の方には大変申し訳なかったのですが…」と苦しい胸の内を明かします。
その後も国内外で新型コロナの感染拡大は続いていますが、北海道では「当初懸念された爆発的な感染拡大と医療崩壊は、現状として回避された」として緊急事態宣言は3月19日でひとまず終了。これを受け、「花粉割」の実施に踏み切ったといいます。
「花粉症の方向けのサービスの話を聞き、もともと今年から導入しようと思っていたんです。でもコロナでそれどころじゃなくなってしまった。ただ、完全に収束するのを待っていたら花粉の時期も終わってしまう。今年は花粉の飛び始めも早かったし、つらい思いをされている方は多いはず」と同ホテル。
「花粉割」は通常料金から4000円引きで、1人からの利用もでき、「リモートワークをするにも花粉症がつらく仕事ができない方や、子どもが休校で気分転換がされたい方、卒業旅行やいつか北海道に―とお考えの方など、宿泊者様の中に1人でも花粉症の方がいればご利用できます。北海道にスギ花粉がほとんどないということを知らない方も多いですし、今は出づらいかもしれませんが、状況が収まってきたらぜひ、花粉を気にすることなく、春の大雪山の自然と温泉を満喫しに来てください」と話していました。
4月30日まで。予約サイトは https://asp.hotel-story.ne.jp/ver3d/di/?hcod1=67280&hcod2=001&seek=on&def=seek