ぽぽくんとねねちゃんは、千葉県の住宅街にいたところを保護された。猫が大好きな夫婦が保護して、そのまま家族になった。11匹の先住猫のうち、いままで末っ子だった猫たちが末っ子の座を巡ってやきもちをやいた。
住宅街にいた子猫たち
2016年5月、千葉県に住む石井さんは、普段あまり通らない住宅街の道路を車で走っていいた。交通量の少ないところだった。子猫が車の前を横切ったので、慌ててクルマを停めて子猫を保護した。抵抗することも逃げることもなく、すんなり抱き上げることができたという。車に乗ろうとしたら、他の猫の鳴き声がしたので、探してみると積んであるタイヤの陰に1匹の子猫がいた。走って逃げられるほど大きくなっていなかったので、すぐに捕まえられた。2匹は同じ場所にいて、同じような大きさだったので、おそらく兄妹ではないかと思われた。
「子猫を偶然見つける」、そんなことがあるのかと思われるかもしれないが、石井さんは、いつもは通らない道を通った時、ゴミ袋に詰められた猫の死骸を見つけたこともあるという。
すぐに子猫たちを動物病院に連れて行くと、生後2カ月くらいだった。数日後に猫風邪を発症して、いまも慢性的に鼻水が止まらない。
末っ子の座を巡って
石井さんは、男の子をぽぽくん、女の子をねねちゃんと名付けた。10匹以上の猫を多頭飼いしているため、しばらく2匹を隔離した。
対面させると、いままで末っ子扱いされていた猫たちが、末っ子の座を奪われたためやきもちを妬いた。ぽぽくんたちのために用意した子猫用のフードを食べてしまったり、寝ていたベッドにオシッコをしたり、スプレー行為をしたりするようになった。
「叱るとエスカレートするような気がしたので、したいようにさせていました。うちでは猫を叱らないようにしているんです。たとえば、花瓶など、落ちたら危ないものは人間が片付けておいたらいいので。人間が猫に一緒に暮らしてもらっていると思っているので、猫を人間の価値観に合わせるのが嫌なんです」
やがて、末っ子の座をめぐる戦いは、自然に収束した。
昔の家族を思い出す
ぽぽくんとねねちゃんは、よく一緒にいる。2匹とも穏やかな性格で、人にも猫にもフレンドリー。兄弟以外の猫にもよくくっついている。ぽぽくんは、一緒に暮らすどらやきくんに次いで大きな猫で、見ていると、昔飼っていた体重9.9㎏のぷーくんのよう。ご主人は、大好きだったぷーくんを思い出すという。
13匹の猫と暮らす
「何匹か飼い猫を亡くしましたが、なれるものではありません。獣医さんに、これ以上治療法はないと言われると悲しいし、新しい子を迎えても、亡くなった子の穴は埋まりません。ずっと寂しい気持ちが残ります。写真を見て思い出したい。主人は、写真を見るのもつらいと言います」
石井さん夫婦は、いままでいた猫たちのことを思い出しながら、二人でよく話す。それが何よりの供養になる。