保護した子猫はてんかんに水頭症、そして難聴だった…「心のふれあい」で猫も飼い主も成長

川上 隆宏 川上 隆宏

保護して水頭症が分かったころの様子について、楠さんはあらためてこう振り返ります。「体調も悪かったと思いますが、精神的にも安定していなかったと思います。 24時間ずっと徘徊しているような状態で…。寝ていても体をずっと動かしていて、なにか発作を起こしているようでした」

耳がうまく聞こえないことも、不安定さに拍車をかけました。「大丈夫だよ、と声をかけてあげたくても、耳が聞こえないから伝えられない。なでてあげたくても、後ろから体を触るだけでとても驚かれたり…普通の意思疎通ができませんでした」。一方、葉ちゃん自身も、自分の声が分からないからか、ずっと鳴き続けていました。

週に何回もてんかんのはげしい発作を起こしていた時期もありました。泡を吹きながら、全身のけいれんが続きます。けがをしないように体を押さえますが、飛び跳ねてしまうことも。そのような時は発作にそなえて、リビングに布団を敷き詰めて寝ていました。

「飼っているこちらも世話をするのに疲れてしまって…1、2年ほどは睡眠不足だったと思います」…しかし、時間がたつにつれて、すこしずつ葉ちゃんと楠さん家族とは心が通い合うようになってきます。後ろから触っても驚くこともなくなりました。葉ちゃんが打ち解けるのにあわせて、薬の効果も現れるようになってきました。

平衡感覚の弱さは残り、今でも高いところに登れません。歩く様子はまだよたよたとしていたり、動くものを目で追うことも苦手です。しかし、4年たった今、外に興味を示したり、おもちゃで遊んだりするようにもなりました。 普通の子よりゆっくりですが、できることを増やしています。初めて保護猫を飼ったという楠さんも、葉ちゃんと過ごすことで「いろいろなことを勉強させてもらった。ありがたい」と話します。葉ちゃんも楠さんも、しっかりと歩み続けています。

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