保護猫シェルターの館長は小学生! 殺処分ゼロを目指して奮闘する小6の女の子

黒川 裕生 黒川 裕生

山口県山口市の「てしま旅館」には、小学6年生の女の子が館長を務める保護猫施設「猫庭」がある。1969年創業の旅館の中庭に、改装した貨物コンテナ4基を重ねた2階建てのシェルターを設置。ここでは常時30匹ほどが暮らしており、毎週日曜日の譲渡会や、旅館の利用者が参加できる見学会などを通じて、里親につないでいる。2016年6月に開設して以来、譲渡先が見つかった猫は250匹に上るという。

猫庭の館長は、手島姫萌(ひめも)さん。1年生のときに父の英樹さん(当時は猫嫌い)にきょうだいで頼み込んで野良猫を飼い始めた。猫中心の生活を送るうち、英樹さんも晴れて猫好きに転向。ついには地元山口県の猫殺処分数の多さが気になり始めるほどになった。手島家は「殺処分をゼロにしたい」との思いから、クラウドファンディングで400万円余りを調達。とうとうコンテナを活用した猫庭事業をスタートさせるに至った。

姫萌さんは日々の餌やりや掃除、健康チェックなどを担当。また館長として、旅館の利用者や、譲渡会の参加者を案内する役も担う。ちなみに、猫庭のアイコンに使われている物陰からひょっこり顔を出す猫のイラストは、姫萌さんが小学3年生のときに描いたものだ。

猫庭の取り組みは話題となり、新聞やテレビの取材も相次ぐように。猫好きを中心に旅館の利用者も増え、姫萌さんらは忙しい日々を送る。趣旨に賛同する企業とは「猫庭コーポレート・パートナーシップ」を締結。ネイル関連企業とは、今年から新たに「猫庭ネイルプロジェクト」を始めた。これは、猫庭のイラストをネイルアートに使い、売り上げの一部を猫庭の運営費に充てる取り組みだ。

このほど、猫庭のネイルシールを販売するネイル用品販売会社「TAT」(兵庫県西宮市)を英樹さんと訪れた姫萌さん。「猫を通じていろんな場所に行ったり、人の輪が広がったりするのが楽しい」と笑顔を見せる。

英樹さんによると、猫庭では現在、主に山口県内の家庭から引き取った猫を世話している。ちなみに山口県の猫の殺処分数(下関市を除く)は、2015年度までは年間2000匹台で推移していたが、16年度には一気に907匹まで激減。譲渡数を前年度の85匹から1071匹まで増えためで、17年度も542匹(譲渡は1489匹)と大幅に減らすことに成功している。

■猫庭 https://neko-niwa.com/

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