私がまだ研修医だったころ、同僚の先生が私に「見て!すごく美人な看護師さんがいる!」と耳打ちしてきたことがあります。よほど興奮していたのでしょう。私に話しかける彼の瞳孔が、ぱーっと開いていくのが見えました。まるでマンガに出てくるような彼の目に大笑いしてしまったのですが、眼科医になってその理屈が分かりました。
「目は口ほどにものを言う」と言いますが、実は医学的にもこれは本当のようです。茶目の中央にある黒目の部分を瞳孔といいますが、この瞳孔は感動・不安・驚きなどで交感神経が刺激された時に反射で大きく開く(散瞳する)とされているからです。
冒頭で美しい女性を見たときの男性を例にあげましたが、人は好意を持ったときに散瞳することが多いようです。瞳孔の動きは自分の意志でコントロールすることはできませんので、「美人がいる!」と思った瞬間に勝手に瞳孔が開いていくわけですね。